福岡県・小倉競輪場で開催されている『競輪ワールドシリーズ2026』第2戦も、いよいよ最終日を迎えた。

2日目は日本競輪特有のブロックによって、マシュー・リチャードソンが“世界最速”を発揮できずに決勝進出を逃すなど、やはり外国人選手も、慣れるまでは難しさを感じているようだ。

本記事では、最終日に外国人選手が出場したレースのレポートをお届けする。

9R リチャードソンが2日続けてブロックに苦しむ

車番 選手名 府県/期別
1 大森慶一 北海道/88期
2 緒方将樹 熊本/117期
3 マシュー・リチャードソン イギリス
4 木村佑来 宮城/119期
5 大石剣士 静岡/109期
6 樫山恭柄 福岡/92期
7 芦澤辰弘 茨城/95期

【並び】

木村-大森

芦澤

緒方-樫山

リチャードソン-大石

残り1周半となって最後方からリチャードソン(赤)-大石(黄)ラインがスピードを上げていくも、緒方(黒)-樫山(緑)ラインから牽制を受ける。

リチャードソンがやや外に振られながらも再度加速していくが、残り1周に入り、隊列全体もスプリントに入り、前方との差が縮まらない。

バックストレートでリチャードソンが再度踏み直すも、緒方に前に入られ思うように加速できず失速。

最終ストレートで先頭で逃げていた木村(青)を番手から大森(白)、3番手から芦澤(橙)が捲って、最後に差し切った芦澤が先着。僅差で2着に大森、3着には樫山(緑)が入った。リチャードソンは7着となった。

準決勝同様、競輪特有のブロックや位置取りに苦しめられたリチャードソン。“世界最速”の競輪デビュー戦は初日から1着→7着→7着とほろ苦い結果となった。

競走結果

車番 選手名 着差 上り 決まり手 H/B
1 7 芦澤辰弘 11.3 差し
2 1 大森慶一 1/2車輪 11.4 差し
3 6 樫山恭柄 3/4車身 11.2
4 4 木村佑来 1車輪 11.7 HB
5 5 大石剣士 1/2車輪 11.2
6 2 緒方将樹 2車身 11.6
7 3 マシュー・リチャードソン 3車身 11.9

7着 マシュー・リチャードソン コメント:「まだ競輪のことを理解できていない」

競輪はやはり難しいですね。5人の選手が前にいて、仕掛けるタイミングが難しくなりました。慣れていない部分が大きく、まだ競輪のことを完璧に理解できていないと感じています。ただ3日間を通して多くの経験を得て、戦法を学びました。次の青森ではとにかく勝つつもりで、頑張ります。

10R アンドルーズとファンデルワウ 世界レベルの競り合いを制したのは

車番 選手名 府県/期別
1 小林優香 福岡/106期
2 へティ・ファンデルワウ オランダ
3 石井寛子 東京/104期
4 布居光 和歌山/118期
5 山口優依 愛知/124期
6 エレセ・アンドルーズ ニュージーランド
7 中川諒子 熊本/102期

 

残り1周に差し掛かろうとしたところ、最初に踏み込んでいったのは最後方の小林(白)。その動きを見ていたアンドルーズ(緑)も合わせて加速して前方へ。

隊列が2列で並走するなか、ファンデルワウ(黒)がバックストレートで腰を上げて、外から一気に隊列を抜き去っていく。

抜け出したアンドルーズとファンデルワウが並走状態で、もがき合いながらコーナーを駆け抜けていく。

最後まで鋭い加速を見せたファンデルワウがアンドルーズをかわしてフィニッシュラインを通過。2着にアンドルーズ。3着には2人を懸命に追った小林(白)が入った。

世界トップクラスのスプリント勝負を制したファンデルワウ。アンドルーズの連勝を止め、自身は3日間全てのレースで1着を取り、完全優勝でデビュー戦を飾った。

競走結果

車番 選手名 着差 上り 決まり手 H/B
1 2 へティ・ファンデルワウ 11.5 捲り
2 6 エレセ・アンドルーズ 3/4車身 11.7 捲り B
3 1 小林優香 2車身 11.9
4 5 山口優依 5車身 12.3 H
5 4 布居光 1/4車輪 12.2
6 3 石井寛子 2車身 12.4
7 7 中川諒子 3/4車身 12.4

1着 へティ・ファンデルワウ コメント:「自分にできることは全てできたレース」

エキサイティングなレースになりました。私にとって初めての決勝の舞台で、自分にできることは全てできてハッピーです。
後ろでレースを進めたのは予定通りで、自分の良いタイミングで仕掛けられるように、道中で囲まれたくありませんでした。結果として、挟まれる形にはなりましたが、一度引いて抜け出せたことが勝利のポイントだったと思います。
(アンドルーズとの踏み合いに対して)彼女もかなり強い選手で、ロングスプリントができる選手なので、横並びになった時には最後まで踏み抜くしかありませんでした。どのレースも勝つことは簡単なことではありませんが、ベストを尽くして次のレースも頑張ります。

2着 エレセ・アンドルーズ コメント:「見る価値のあるレースができた」

後ろからへティ(ファンデルワウ)が来るという予想があり、前でレースをしようと考えていました。最後はヘティにスピードで上回られてしまいました。ただ、とてもエキサイティングで、見る価値のあるレースができたと思います。
3日間すべてのレースで、周りの選手たちのことも含めて、新しい学びがありました。次のレースに向けて1度しっかり振り返って、次のチャレンジを見つけていきたいと思います。

3着 小林優香 コメント:「2人が冷静にレースをコントロールしていた」

ファンデルワウ選手の番手は取れましたが、アンドルーズ選手も前にいて、スプリント勝負になれば厳しいと思い、自分からレースを動かしていきました。
初日はアンドルーズ選手の後ろにつきましたが、踏み出し、踏み直しが強烈で差せませんでした。2日目は先に動きましたが、ファンデルワウ選手とのトップスピードの差を感じる結果になりました。2人とも普段のガールズケイリンの選手たちより、ずっと速いスピード域で、今日も2人が冷静にレースをコントロールしていたと思います。
世界のスピードを体感できたので、この経験を活かして、次に繋げたいと思います。

12R 阿部英斗が地元バンクで“日本の競輪”を見せ完全優勝

車番 選手名 府県/期別
1 林慶次郎 福岡/111期
2 ジョセフ・トゥルーマン イギリス
3 市田龍生都 福井/127期
4 渡邉一成 福島/88期
5 伊藤颯馬 沖縄/115期
6 菱田浩二 京都/97期
7 阿部英斗 福岡/125期

【並び】

阿部-伊藤-林

市田-菱田

トゥルーマン-渡邉

先頭からトゥルーマン(黒)-渡邉(青)、阿部(橙)-伊藤(黄)-林(白)の九州ライン、市田(赤)-菱田(緑)の近畿ラインの並びで周回を重ねていく。

残り2周に入るところで後方から前に出てきた市田-菱田がスプリントを開始するも、ここはトゥルーマンが牽制。

1度外に膨らんだ市田だったがバックストレートで再度踏み直して仕掛けていく。同じタイミングで阿部も仕掛け、先頭のトゥルーマンと競り合いに。

先頭から市田、トゥルーマン、阿部の順で最終周回へ。

残り半周でトゥルーマンが捲りを開始し、市田を捉えるが後ろには阿部がぴったりと続く。

最終ストレートに入り、内側で粘るトゥルーマン。しかし鋭く伸びてきた阿部がフィニッシュ寸前にトゥルーマンを捉え、1着フィニッシュ。2着には外から踏み込んできた伊藤。トゥルーマンは最後まで粘るも3着となった。

勝負所で一気の加速を見せた阿部。地元の大歓声に手を掲げて応え、完全優勝で“日本の競輪”の強さを見せつけた。

競走結果

車番 選手名 着差 上り 決まり手 H/B
1 7 阿部英斗 11.4 差し
2 5 伊藤颯馬 1/2車輪 11.4 マーク
3 2 ジョセフ・トゥルーマン 1/4車輪 11.6
4 1 林慶次郎 3/4車身 11.3
5 4 渡邉一成 1車輪 11.3
6 3 市田龍生都 3車身 12.2 HB
7 6 菱田浩二 9車身 12.6

1着 阿部英斗 コメント:「日本の競輪を見せることができた」

『競輪ワールドシリーズ2026』が地元で開催されるということで、恥だけはかかないレースをしたいと思っていました。そのなかで、自分のやりたいこと、持ち味を出して優勝できたことはとても嬉しいです。
やはりトゥルーマン選手が強いのは分かっていましたが、ラインとも上手く連携できて、これが日本の競輪だと見せることができたと思います。地元開催で歓声の力ももらえました。小倉じゃなかったら最後は差せていなかったと思います。
今回、これが自分のレースだと証明できたと思うので、これをしっかりと活かして今後も戦っていきたいと思います。

3着 ジョセフ・トゥルーマン コメント:「日本の競輪を味わったタフな3日間」

残り2周から仕掛けていきましたが、途中ブロックにもあって難しかったです。他の選手たちにも警戒されるなかでレースをすることは、とても勉強になります。
どのレースにも強い選手がいて、前からのレースも試してみました。ブロックをすること、されることも含めて日本の競輪を味わったタフな3日間でした。
コンディションはずっと良い状態で、次は伊東温泉でのレースになります。伊豆から近い地元バンクだと思っているので、頑張りたいです。

6着 市田龍生都 コメント:「日本の競輪選手たちがここまでできると見せられた」

ペースコントロールも無茶でしたし、突っ張られるのも分かっていながら上手く対応できませんでした。残り2周で阿部選手を中団に抑えながら、トゥルーマン選手を後ろに置いておく展開に持っていくことができず、自分の力不足を感じています。

ただ日本の競輪選手たちがここまでできるんだということを、みんなで見せることができたのは良かったと思います。自分の力を出し切って、もっと戦術も磨いて、頑張ります。

“日本の競輪”が意地を見せる

第2戦も全日程を終え、女子は外国人選手たちがスピードの差を見せ、連日強さを見せる結果となった。一方で男子は日本の競輪特有のラインやブロックに外国人選手たちが苦しめられる展開が続いた。まだまだ外国人選手たちが適応の途上とは言え、日本の競輪選手たちが簡単には勝たせないというプライドを見せた3日間。第3戦は7月3日(金)〜5日(日)に青森競輪場で開催される。ここからさらに熾烈になっていく戦いにぜひご期待いただきたい。

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「競輪ワールドシリーズ」とは?

1982年より「国際競輪」としてスタート、2009年より「短期登録制度」として行われていた外国人選手招聘レース。新型コロナウイルス感染症の影響などもあり2020年度以降中断されていたが、7年の時を経て復活する。

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