『競輪ワールドシリーズ2026』の開幕が目前に迫るなか、6月2日(火)に外国人選手が防府市役所へ表敬訪問した際のレポート記事はご覧いただけただろうか。

表敬訪問を終えた選手たちはそのまま防府競輪場に向かい、前日検査、いわゆる「前検」を受けた。選手たちは前検で身体検査や自転車の車体検査を受け、メディアの取材対応が行われたので、本記事ではその様子とコメントをお伝えする。

防府市役所から移動し防府競輪場にたどり着いた選手たち。

ジョセフ・トゥルーマンやマチルド・グロは7年前の国際競輪でも経験していることもあり、顔馴染みの記者や選手とコミュニケーションを交わしていた。

以下、それぞれの選手のコメントを掲載する。

「自信を持って明日に臨める」ハリー・ラブレイセン

Q:これまでトレーニングを積まれてきたと思いますが、手応えはいかがですか?

とても良い状態だと思います。練習もしっかり積んできましたし、自信を持って今日を迎えることができました。

Q:日本の競輪は映像で何回も見ているかと思いますが、どんな印象を持っていますか?

私にとってもちろん新しい経験になります。明日は初めての競輪になるわけですね。いろんなレース映像も見てきましたし、競輪を知る仲間にもたくさん話は聞いてきました。なので明日は自信を持ってレースに臨みたいと思います。

Q:競輪の鉄フレームについて少し苦戦していると話されていましたが、今の感触はいかがでしょうか。

今は練習を重ねてきたので、競技用の自分の自転車と同じような感覚で乗ることができています。

Q:防府競輪場では8秒8というバンクレコードがあります。

(日本語で)ニッタサン。

Q:そうです!(2015年4月に新田祐大が記録)いろいろな期待があるなかで、バンクレコードについてはいかがでしょうか。

まずはレースに勝つことが1番大事だと思っています。レースの展開や状況も当然関わってくる話なので。ただどこか1つくらいはバンクレコードを更新したいと思っています。

Q:日本での生活はいかがですか?

とても良いです。先日は休暇をとって友人たちと旅行に行きました。

Q:台風で雨や風の影響もあると思いますが、いかがでしょうか

伊豆での競走訓練の時には土砂降りの雨だったので経験はあります。最初は少し怖さがありましたが、レース自体は上手くいったので問題ないと思います。

Q:日本のファンに期待してほしいことはありますか。

世界選手権やオリンピックにも出場し、実績を残してきたので、その姿を見てほしいですね。

囲み取材も手慣れた様子 ジョセフ・トゥルーマン

(通訳を介さず全て日本語で)

お久しぶりです。日本の食べ物をたくさん食べてきました。なんでも美味しいです。

Q:特に何が好きですか?

エビフライ!彼女も好きなんです。

Q:久々に日本に来ることができて、良かったですね。

もちろん!2019年から7年ぶりですね。ここまで来るのは大変でした。日本語もたくさん勉強しました。でも…めっちゃ大変(笑)

Q:でもとても上手です。漢字はどうですか?

ありがとうございます。漢字は…無理です(笑)

ほとんど通訳を介さずに記者と一緒に出走表を見ながら選手の情報を聞くなど、囲み取材も手慣れた様子のトゥルーマン。さすがの経験値を発揮してくれた。

「できることを全て出し切りたい」エレセ・アンドルーズ

Q:明日のレースはどのように臨みますか?

先行捲りです。初めてのレースでもあるので、いろいろと見て学びたいと思います。

Q:天気が悪い可能性もありますが、不安はありますか?

競技では室内で走っているので、もちろん異なる環境です。ただ日本での競走訓練の時に雨の中で走ることは経験しているので大丈夫だと思います。

Q:日本に来てから文化や食事を楽しみましたか?

少し忙しかったのでまだまだです。これから楽しんでいきたいと思います。今日は食堂でそばを食べましたが美味しかったですね。

Q:今回、競輪の経験のあるマチルド・グロ選手も一緒に来日していますが、何か教わっていますか?

彼女がいて本当に良かったと思います。練習やレースについても教えてもらいました。あとは競走訓練の際に、一緒に走った日本の選手たちからも教わりました。

Q:今回の来日期間での目標は何でしょうか。

たくさんのレースがあるので全てを勝つことは難しいと思いますが、できるだけ1位になり優勝したいと思っています。できることを全て出し切って、自分の経験値にしたいですね。

「攻める気持ちを持ってゴールまで全力で」マチルド・グロ

Q:ここまでの練習はいかがでしたか?

直前の期間でとても良い練習ができたと思います。屋外のトラックに慣れる練習に取り組み、難しい部分もありますが一生懸命頑張りたいと思います。

Q:防府競輪場の333mバンクの経験はありますよね。奈良競輪場でのレースをよく覚えています。

奈良競輪場も含め、何度も経験はあります。あの時はまだ20歳と若かったですね……27歳になりました(笑)

Q:雨や風については心配ですか?

もちろん難しさはあると思います。ただみんな一緒の条件なので問題はないと思っています。最初のレースになるので少し緊張はありますが、頑張りたいと思います。

Q:7年ぶりの来日になりますが、目標を教えてください。

すべてのレースで全力を尽くしたいと思います。ゴールまで全力で、攻める気持ちを持って走りたいです。日本の選手たちとの交流や、文化を知ることも楽しみにしています。

Q:日本の文化では何に関心がありますか?

お寺や相撲が好きですね。日本のいろんなところに行きたいと思っています。

ライバルとなる日本人選手が持つ印象とは

「勝っても負けても一生の思い出になる」新田祐大

Q:世界のトップクラスの選手と戦うことになりますが、どんな印象を持っていますか?

彼らが鉄のフレームに乗った時にどうなるのかはわくわくする部分はあります。以前の国際競輪の際もそうでしたが、日本の選手にとっては情報がないので。レースを重ねていくなかで彼らも感覚をつかんでいくと思いますが、私たちにとっても対戦を経験した選手たちからフィードバックを得ていきます。そういった変化が生まれるのも楽しみです。

Q:やはり選手にとっても大きな経験になりますね。

簡単に言えばスーパースターのような存在と、競輪という舞台で一緒に走れる。これは勝っても負けても一生の思い出でもあり、財産になると思います。

Q:新田選手個人の感覚としてはいかがでしょうか。

海外選手のスピード感や仕掛ける時の爆発力といったものは、やはりなかなか味わうことのできないものだと思います。そのあたりを意識して、G1の舞台に繋げていければと思います。

直前に(太田)海也や(中野)慎詞と練習する機会があって。その中で外国人選手のことも意識しながら取り組んだ部分もあり、その練習で感じたものがワールドシリーズで発揮できたら白星も近づくんじゃないかと思っています。

Q:その練習は競技用のカーボンの自転車ですか?

そうです。海也には負けましたけど、慎詞には勝てましたね(笑)。

「競輪と競技の踏み上げ方の差はあると感じた」久米詩

Q:競走訓練で海外選手と一緒に走っていますが、その時はどんな感覚でしたか?

ずっとトルクをかけられるといったイメージでした。普通の人ならタレてくるところで、スピードが落ちてこなくて、持続力があるという感じでした。

Q:やはり強い、という印象ですか。

トップスピードは確かに速いです。ただ嫌な相手という印象ではありませんでした。

恐らく競輪選手と競技選手の違いだと思います。競技の方々は一回踏み込んだら後は踏みっぱなしだと思うんですが、競輪は出て流して相手に合わせて踏み上げるといった走り方もあるので。その方が嫌だと思う選手も多いと思います。

Q:レースの展開に慣れてない部分はありますかね。

ギヤの違いもありますし、競技だと1度流してしまうともう踏み直せないと思います。そこが踏み上げ方の違いに出る印象です。

Q:後ろについて飛び出す流れも想定できますね。

ただ馬力そのものが違う部分はあるので……。ペース配分をどれだけ完璧にやって余力が残せたとしても、彼女たちの余力が上回ったら厳しいとは思いますが、上手く戦っていきたいと思います。

幸運と繁栄の象徴…?

海外選手と日本人選手がそれぞれに思うイメージも、これからレースを重ねていく度に徐々に変化していくはずだ。お互いがお互いに適応していく過程を追っていくのも、このワールドシリーズの楽しみ方の1つ。まずは6月3日(水)の開幕戦からぜひ楽しんでいただきたい。

取材を終え帰路につこうとした取材班の目に飛び込んできたのは、なんと崖を横切るヤギの姿……。実は雑草の除草のために防府競輪場で飼育されているそうだ。ヤギは中国では幸運と繁栄の象徴だとか……明日の開幕に向けて縁起の良い存在で取材を締めくくることができた。

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「競輪ワールドシリーズ」とは?

1982年より「国際競輪」としてスタート、2009年より「短期登録制度」として行われていた外国人選手招聘レース。新型コロナウイルス感染症の影響などもあり2020年度以降中断されていたが、7年の時を経て復活する。

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