トップアスリート達の激闘

KEIRINグランプリのレースは1本勝負。もちろん主役の選手達は、わずか数分間のレース本番のために何千・何万倍もの時間を注ぎ込んできた。

競輪は賭けの対象であると同時にトップアスリート達が人生を賭けて戦う舞台。血の滲むような努力で自らを磨き上げ、戦いの舞台へ挑んでいるし、命の危険すらある怪我と隣合わせの職業だ。それでも、たった一人しか座ることが許されない「頂点」という椅子を目指し、ペダルを回し続けている。その命のほとばしりを目前で味わい、空間を共有することだけでも価値があるだろう。

我々はトラック競技やロードレース、競輪などジャンルに限らず「結果へ至るストーリー」の部分にも焦点を当て、紡いでいきたいと考えている。

KEIRINグランプリのレース前、一人静かに鬼気迫る雰囲気で直前の仕上げを行っていた浅井康太選手。こんなトップアスリート達がぶつかり合う瞬間はF1やモトGP並の興奮度と言えよう。

アクシデントも付き物

人生を自転車へ捧げたアスリート達がぶつかり合うからこそ、アクシデントも付き物。昨年に続き、今年のKEIRINグランプリも落車があった。村上義弘選手と平原康多選手が接触し、村上選手は棄権。しかし平原選手は立ち上がり、ゴールを目指す。

ホイールは歪みスポークが飛び出し車輪が回らない。自転車はとても乗れる状態ではないが、それでも顔を歪め、必死にゴールを目指す姿に「平原ー!がんばれー!!」と観客からは大声援が沸き起こった。

「ゴールしなきゃ賞金は貰えないからでしょ」そういった見方もあるだろうが、その姿から、平原選手がゴールを目指した理由は別だと感じた。

新田ワープ