11月21日の『競輪祭女子王座戦(G1)』決勝で優勝し、2025年のG1完全制覇を成し遂げた佐藤水菜。
ここでは、その偉業を振り返っていく。
“リベンジ”のオールガールズ
偉業の幕開けとなったのは、4月の『第3回オールガールズクラシック』(岐阜競輪場)。
文字通り“敵なし”状態の佐藤水菜だが、この開催の準決勝では捲りが届かず2着に敗れていた。
「昨日みたいなレースはしてはいけない」という思いで迎えた決勝は、長い距離を先行するレースで快勝。
レース後には「まずは1つ、という気持ち」と語っていたが、その名の通りここから快進撃がスタートした。
「昨日のようなレースはしない」佐藤水菜が準決のリベンジ果たし優勝『第3回オールガールズクラシック』/ 4月27日 岐阜競輪場
「気持ちのぶつかり合い」パールカップ
2つめのG1は、6月の『第3回パールカップ』(岸和田競輪場)。
決勝では道中3番手、竹野百香との並走状態が長く続く展開に。
しかし「退く気はありませんでした」と強い気持ちで位置をキープすると、残り1周からものすごいスピードで進出。
最後の直線では後続も迫るも、「雑巾のように脚を絞って」粘り切り優勝。
自身が持っていたG1最多優勝記録を4に更新した。
涙の勝利 オールスター
9月の宇都宮競輪場で行われた『第1回女子オールスター競輪』。
この年に新設されたG1で、結果的にこのレースで佐藤水菜は女子史上初の“グランプリスラム”(全G1 + グランプリを優勝)を達成することとなった。
レースは、500バンクの長いバックストレッチで前を一気に飲み込むと、ぐんぐんとリードを広げて最後は2着に5車身差をつける圧勝。
偉業達成に会場からは大きな歓声が寄せられ、表彰式では涙を見せるシーンもあった。
佐藤水菜が完全優勝でグランプリスラム達成! 圧勝劇の後には涙も 『第1回女子オールスター競輪(G1)』/8月10日 宇都宮競輪場
番外編 2年連続のケイリン世界一
ガールズケイリンのレースではないが、触れないわけにはいかないのが、10月にチリで行われた『世界選手権トラック』。
スプリントで銀メダルを獲得した後、最終日のケイリンでは世界の強豪を撃破し連覇を達成。
長い距離を駆ける力勝負で、その脚力を世界の舞台でもまざまざと見せつけた。
競輪祭女子王座戦
2024年に続き“ケイリン世界一”として臨むこととなった『競輪祭女子王座戦』(小倉競輪場)。
予選・準決勝と危なげなく快勝し、偉業達成にリーチをかけて挑んだ決勝。
残り1周に入る前にいち早くスパートをかけると、圧倒的なスピードを見せて一気に先頭へ。
最終盤での接触のアクシデントもものともせず優勝を遂げ、ついに年間グランプリスラムを実現させた。
アンタッチャブルな記録の数々
男子に比べ歴史としては浅いガールズケイリンではあるものの、当然、“年間グランドスラム”が達成されたのは史上初。さらにいえば、昨年の『第2回競輪祭女子王座戦』を制したのも佐藤水菜である。つまり、ガールズG1は5回連続で佐藤水菜が優勝しているということだ。
紛れもある競輪で勝ち続けるのは並大抵のことではなく、“年間グランドスラム”も、“G1を5連勝”も、アンタッチャブルレコードといえる金字塔となる可能性は十分にあるだろう。
年末に、さらなる偉業達成挑む
2025年のガールズG1が終わり、これから年末のグランプリシリーズに向けて加速していく。
佐藤水菜は、当然12月29日の『ガールズグランプリ』に出場する。
昨年は2着に敗れた大舞台で、“年間グランプリスラム”というさらなる金字塔を打ち立てるのか。
間違いなく、ガールズケイリンの歴史に残り続けるであろう佐藤水菜の走りにご注目いただきたい。
