「負けのなかに“勝ち(価値)”がある」レジェンドの競輪観

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弟子と過ごす宿舎生活が好きだった

Q:神山選手にとって競輪とは?

よく使われる言い回しですが、人生そのものです。
本当に競輪が大好きで、自分の力で棺桶にたどり着けるだけの力を残して、競輪で力を出し尽くそうと思っていました。本当に、人生そのものですね。

Q:最後となった取手開催は、どのような心境でしたか?

思いの外、落ち着いて参加することができました。仲間たちのほうが僕に気を使ってくれていたので、不思議な感覚でしたね。でも最後のレースに関しては、普段通り、いいレースができたと思います。

Q:同県の選手には伝えていた?

ほとんど話してはいませんでしたが、弟子である飯島(則之)と(神山)拓弥には言っていました。最後はあいつらと一緒に宿舎で生活したいと思っていました。僕は宿舎の生活が好きで、あいつらと一緒にいると楽しいんです。

仲間たちは財産

Q:これまで何千人という選手と走ってきたと思いますが、強いと思った選手は?

数え切れないくらいいます。競輪選手はみんな……強い弱いに関係なく、魅力的な選手がたくさんいます。みんな素晴らしくて……ただ、やっぱり同世代の吉岡稔真選手は勝手にライバルとして頭のなかにずっといました。吉岡選手に認められたくて……ずっと頑張ってきました。

そんな魅力的な仲間たちが、ライバルである僕を応援してくれたり、引退に際して声をかけてくれたり。本当に、競輪っていいなと思いました。みんな競輪学校を出て、上を目指して一緒に戦ってきて……仲間たちは、本当に財産だと思っています。

初めて迎えられる“いい正月”

Q:グランプリは、4年連続2着という経験もしたレースです。今年の開催も迫っていますが、特別な想いはありますか?

やっぱり選手としては、グランプリを勝ちたかったなという想いはすごく強いです。でも、やっぱりみんなが目指すところですし、絶対に勝てるとは限らない。逆に、グランプリを目指してずっと頑張ってこられたのはよかったかなと思います。

笑い話ですけど、選手になってからいい正月を迎えたことなんてなかったです(笑)。グランプリっていうレースを見たくなかったくらいです。でも、今年は気にせずに、気持ちよくレースを見たいですね。後輩の眞杉は当然ですけど、選手はみんな素晴らしいので、全員を応援して見たいと思います。