福島県のいわき平競輪場で8月15日から19日まで行われたGⅠ『30年7月豪雨被災地支援 第61回オールスター競輪』は、トラック競技の日本ナショナルチームでも活躍する脇本雄太のGI初制覇で幕を閉じた。

最終日の優勝決定戦の一つ前のレースでは、もう一人のナショナルチームの選手、深谷知広が1着となって最終日を終えていた。後方から一気にまくって勝利した深谷のレースを、ナショナルチームの短距離ヘッドコーチであるブノワ・ベトゥと、アシスタントコーチのジェイソン・ニブレットはどういう感想を抱いたのだろうか?

ブノワ・ベトゥの解説

Q:深谷選手のレースですが、どう見ましたか?

良い部分を述べると、身体的に彼は強いということだけでした。後ろで仕掛けるのを待っていましたし、レース自体は全然ダメでした。彼にとって正しい走りをしたとは言えないと思います。

結果的には勝てましたが、もっと良いレースにする機会、良いレースにする位置取りのチャンスがあった。彼は強いから最後まで待ったということでしょうが、残り500mを切ってスピードが上がった中、最後尾から仕掛けることはとても危険であり、多大な労力を強いられます。それを考慮すると、走り方の選択は良くなかったと思います。

ただし、平原(康多)選手が落車した後に怯むことなく最後まで走りきったことは評価できますね。

Q:なるほど。よく見るレース展開だったとは思いますが

その通りです。深谷に限ったことではないのですが、レースを見て「残念だ」と思っていることがあります。

それは毎回選手たちが同じようなレースをすることですね。

今までやったことがないことをやってみるとか・・・・・・。選手たちはお互いの走り方もそれなりに知っていると思いますし、誰がどう動いてくるのか、ある程度予想が付いているはずです。その中でじゃあ自分は「こうしよう」とか「ああしよう」とか思っているのでしょうが、それではレースを感じているとは言えません。

チャンスがあれば迷わずそのチャンスを掴むこと。レースには決まった戦術など存在しないし、10選手がいれば10通り、それ以上のやり方が存在するんです。だからもっといろいろなことを試してもらいたいとは思っています。

ジェイソン・ニブレットの解説

まず、深谷が落車に巻き込まれなくて良かったです。落車があったときに深谷はその後ろにいたので、「また一人選手が怪我で走れなくなるのか・・・・・・」と思わされました。それを乗り越えて、最後に勝ちきって自信をつけたことはポジティブに捉えたいことです。

これで気持ちよくアジア大会、そして次のGIに臨めますね。身体的には凄く強い状態なので、あとは深谷にとって戦術、フィジカルがマッチすることが課題でしょう。

深谷知広本人が振り返るレース内容