約2000人の競輪選手の頂点、S級S班。たった9人しかいないこの選手たちが高収入なのは言わずもがな。では「G1に出場できるようになったら、いくらくらい稼げるか」はどうだろう?
この記事では2023年ラストのG1レース「競輪祭」の賞金表を例に、ほぼ出るだけ状態……すなわち「全部9着」だった場合の賞金額を試算する。
G1レースとは?
年間に6つ設定された、2番目にグレードの高い競輪のレース。なおG1で優勝する・賞金ランキングで上位に入ることで、一番高いグレードのレースである『KEIRINグランプリ(GP)』への出場権を得られる。
従来は男子の6開催のみだったが、2023年より女子の3開催も追加された。
「競輪祭」は例年11月に小倉で開催されるG1レース。年間ラストのG1であり、この開催終了をもって年末のKEIRINグランプリ出場者がすべて決定されるため、一際盛り上がるG1だ。
6日間すべてビリだとしても……
競輪祭は6日間にわたって開催されるが、レース数は5つ(どの選手も1日お休みが入る)。このレースすべてで9着、つまりビリになった場合の獲得賞金額を計算してみよう。
1次予選1 | 1次予選2 | 選抜 | 一般 | 一般 | 合計 |
228,000円 | 228,000円 | 202,000円 | 196,000円 | 271,000円 | 1,125,000円 |
6日間の合計賞金額は112万5000円。選手たちはレース前日の前検日から会場入りするため、拘束時間7日間として、日当は16万円ほどとなる。
もちろん「全レース9着」は選手として落ち込む結果だろう。しかし5レースで「発走機に着き、そしてフィニッシュラインを超える」ことさえできればこれだけのお金がもらえるというのは、夢のある話だ。
競輪選手の賞金は上昇中
ちなみに、近年の競輪選手の賞金は上昇傾向にある。試しに2019年(新型コロナ以前)、2022年、2023年それぞれの「競輪祭全レース9着」の賞金額を比べてみると、以下のようになる。
2019年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
賞金額 | 846,000円 | 1,022,000円 | 1,125,000円 |
増加額 | 17万6000円 | 10万3000円 |
2019競輪祭賞金表(PDF)
2022競輪祭賞金表(PDF)
2019年から比べれば30万円近く最低賞金が上がっている、2023年の競輪祭。今後も上昇傾向が続くかは売り上げ次第だが、競輪選手が夢のある職業ということは変わらなそうだ。
なお競輪の売り上げの一部は社会貢献へ利用されている。賞金が上がってモチベーションも上がった選手たちがより魅力あるレースを繰り広げることによって、更なる売り上げ向上、そして社会貢献事業にも良い流れができることを期待したい。
例として「全部9着」を挙げましたが……
本記事では「G1に出られれば最低でこの金額」の例として「全部9着」を挙げたが、これはあくまで例ということをご認識いただきたい。当たり前だが「G1に出られればあとはなんでも良い」なんて選手はおらず、仮に「全部9着」になったなら相当落ち込むはずである。
G1に出るだけの実力を持つ以上、それなりのプライドも、「やってきた」という自負もある。どの選手もしのぎを削って戦うのがG1レースだ。
競輪祭は11月21日、小倉競輪場にて開催。初開催となる『競輪祭女子王座戦(G1)』と合わせ、熱戦をお楽しみいただきたい。