元ナショナルチームメンバーでもある脇本雄太が制した『2022KEIRINグランプリ』。優勝賞金「1億1880万円*」を獲得し、史上最高額の年間「3億円」を達成した。
本グランプリの優勝賞金は前年(静岡)より1000万円以上も増額されており、2022年の大一番を前に実施された選手インタビューのなかでも、この増額に関する質問がなされていた。
そこで本記事では競輪における「賞金額」に着目し、その推移をたどっていく。
※副賞含まず
レース賞金「総額」の推移
まずはレース賞金総額の推移を見ていこう。
競輪の賞金総額は厳密には「各年度」ごとに設定されるが、今回は2023年1月6日に公表された資料から、各年ごとの額を振り返っていく。
賞金総額 | 登録選手数 | |
2012 | 28,270,543,687円 | 2855人 |
2013 | 26,616,716,557円 | 2647人 |
2014 | 24,997,298,680円 | 2467人 |
2015 | 23,839,886,237円 | 2380人 |
2016 | 23,569,849,400円 | 2357人 |
2017 | 23,511,233,800円 | 2339人 |
2018 | 23,625,114,400円 | 2330人 |
2019 | 24,715,817,900円 | 2376人 |
2020 | 21,275,959,900円 | 2350人 |
2021 | 25,588,213,700円 | 2360人 |
2022 | 30,011,524,600円 | 2367人 |
登録選手数においては2015年以降、男女合計2300人台が毎年登録されており、あまり変化は見られない。
一方の賞金総額では2022年に「約4.5億円」もの増額がなされており、過去10年間では最高額となっている。
選手数にはほぼ変化がないため単純に計算すれば、選手1人あたりが1年に獲得する平均獲得額が増加したことになる。
G1・GPの優勝賞金(2021・2022)
では年に6開催があるG1レースとKEIRINグランプリ(GP)の優勝賞金においては、どれほどの違いがあったのだろうか。
開催月 | 開催名(グレード・開催日数) | 2021年度 | 2022年度 | 差額 |
5月 | 日本選手権競輪 (G1・6日制) |
6206万円 | 7137万円 | +931万円 |
6月 | 高松宮記念杯競輪 (G1・4日制) |
2993万円 | 3442万円 | +449万円 |
8月 | オールスター競輪 (G1・6日制) |
4494万円 | 5168万円 | +674万円 |
10月 | 寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント (G1・4日制) |
2993万円 | 3442万円 | +449万円 |
11月 | 競輪祭(G1・6日制) | 3528万円 | 4057万円 | +529万円 |
12月 | KEIRINグランプリシリーズ(3日間) | 1億330万円 | 1億1880万円 | +1550万円 |
2月 | 全日本選抜競輪 (G1・4日制) |
2993万円 | 3442万円 | +449万円 |
合計 | 3億3537万円 | 3億8568万円 | +5031万円 |
G1開催では4日〜6日間に渡りトーナメント戦が行われ、最終日の決勝レースを制した選手が優勝賞金を獲得する。従って以上の表にも記載している「優勝賞金」とは、各開催で優勝選手が獲得した賞金総額の一部となる。
そんな6つのG1開催とGPの優勝賞金だけでも、2021〜2022年度の差額が5千万円以上に達している。
2021〜2022年の賞金総額の差額が「約4億5千万円」であることを考えると、競輪全体で見てもG1・GPでの優勝がどれほど大きなものなのかが窺える。
そもそもなぜ増額?
そもそも賞金総額はどのように増額されるのだろうか。
賞金の額を算定する際に基準*となっているのは、車券の「売上増減率」。つまり賞金総額が増加しているということは、車券の売上が増加している証拠なのだ。
では車券の売上には近年どれほどの変化があったのだろうか。
※平成29年度〜令和4年度の算定方法