「あっせん保留期間」とは?

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復帰にも試験がある?

競輪では妊娠中〜出産1年後までのあっせん保留期間が認められているが、あっさりと復帰できるわけではない。

妊娠や出産を含め、6ヶ月以上競輪に出場しなかった選手については「走行能力調査」が行われる。この能力調査を受けないとレースに出場することができないのだ。

この走行能力調査の内容公式に明かされていないものの、加瀬加奈子の場合はスタンディングスタート*による「1kmタイムトライアル」を実施。

出産4ヶ月後(2019年6月)に当時39歳で挑んだ加瀬は「1分16秒」を記録し、その後復帰を果たしている。

ちなみに「1kmTT」はトラック競技の世界選手権でも実施されるている種目(男子のみ*)だが、多くの選手がその「辛さ」や「痛み」を口々に語る過酷な種目でもある。

走行能力調査を終えた加瀬も、自身のブログにて「ゆうべは足が痛くて寝たくても寝れず、今日は体中全身痛い」と綴っていた。

※スタンディングスタート:助走なしで、停止状態からスタートする方法。
※トラック競技では男子:1kmTT、女子:500mTTを実施。

苦痛を耐え抜く根源は「負けたくない」日本人唯一の”1分切り”/小原佑太インタビュー

2年以上出場しないと……

競輪に出場しなかった期間が2年以上に及んだ選手には、「走行能力調査」のに加え「200mフライングタイムトライアル(200mFTT)*」による計測も実施される。この200mFTTの基準タイムは男子は「12.8秒」、女子は「14.0秒」と公表されている。選手資格検定の合格ラインと同等のタイムだ。

あっせん保留期間は認められているものの、一定のブランクから再びレースへ復帰することは決して簡単なことではない。競輪を走る選手はみな”一流”であることがわかる。

※フライングタイムトライアル:助走ありでスタートする方法(フライングスタート)で計測するタイムトライアル

参照:JKA「競輪に係る業務の方法に関する規定」149条、第77条