新田祐大 グランドスラムまでの軌跡

3/4 Page

「競輪界トップ」という自覚

ブノワ・べトゥ

ブノワ・べトゥ

6つのG1タイトルのうち3つを獲得した新田は、リオオリンピック終了後もトラック・競輪の両輪で活動。トラック競技ナショナルチームには、ブノワ・ベトゥ、ジェイソン・ニブレットらが新たなコーチとして就任していた。新田曰く、新体制となったナショナルチームでのトレーニングはより厳しいものとなり、競輪への出走にも影響するほどだったそうだ。

そんな厳しい環境のなかでトレーニングやレースに励んだ新田。2017年の「高松宮記念杯」では、自身初のG1開催2連覇を達成。優勝インタビューでは、「競輪界のトップ」でありながらもトラック競技では「一流ではない」と自身を評価しつつ、「一流を育てるコーチが来た」とコメント。厳しい練習が課せられるも、自身の2連覇は「ナショナルチームの全メンバーに対して勇気を与えられること」だと語った。

「競輪界のトップ」という自覚を明確にした新田は、同年11月の「競輪祭」も初優勝。1年で2つのG1を制し、グランドスラムまで残り2タイトルに迫った。

KEIRIN.jp 優勝者インタビュー
2017年度「高松宮記念杯競輪」, 2017年度「競輪祭」

東京オリンピック選考期間へ

新田祐大

ロンドンでは結果が振るわず、リオでは落選。悔しい経験を糧に2020年東京大会を目指し、競輪でも結果を残してきた新田。そんな東京2020オリンピックの出場枠争いが本格的に開始した2018年、新田は年内最初のG1開催「全日本選抜競輪」を優勝。

年末の『KEIRINグランプリ2018』への出場権を1番乗りで獲得できたことで、ナショナルチームでの練習により集中でき「本当にほっとしている」とコメント。オリンピックへの準備を着々と進めると同時に、この優勝でグランドスラムへリーチをかけた。

KEIRIN.jp 優勝者インタビュー
2018年度「全日本選抜競輪」

トラック競技でもメダル量産

Final / Men's Team Sprint / TISSOT UCI TRACK CYCLING WORLD CUP IV, Cambridge, New Zealand, 深谷知広 新田祐大 雨谷一樹 ブノワ・ベトゥ ジェイソン・ニブレット

2018年の時点で、既にグランドスラム達成まであと1タイトルに迫った新田。しかし全日本選抜競輪での優勝インタビューでは、グランドスラムについて「考えていないです」と語り、東京オリンピックへの集中を表していた。

その後2019年から1年延期となったオリンピックイヤーの2021年まで、アジア選手権や、ワールドカップ*、全日本選手権などでの優勝を積み上げていき、ついに長年目標としていた東京オリンピックへの切符を掴む。

※UCIトラックワールドカップ(現UCIネーションズカップ)

全てをかけて臨んだ東京オリンピック

3/4 Page