サッカーW杯、日本初戦の相手コロンビア。なぜ自転車競技の強豪選手が育つのか?

プエルタ

2018サッカー・ロシア・ワールドカップで日本は初戦でコロンビアと対戦する。南米の強国コロンビア、強いのはサッカーだけではない。自転車競技の世界においても強豪国として有名である。

2018トラック世界選手権・男子ケイリンで優勝したプエルタ、トラック競技とロードレースで結果を残すフェルナンド・ガビリア、ロードレースでは新星と呼ばれるエガン・ベルナルなど、自転車競技全体でコロンビア選手の活躍が目覚ましい。

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今回は、コロンビア自転車連盟の技術委員を務めるエクトル・ファビオ氏に「コロンビアはなぜこんなにも強豪選手が育つのか」を中心に、コロンビアの自転車競技事情をインタビューを実施した。

エクトル・ファビオ氏

エクトル・ファビオ氏

コロンビア人は自転車が大好き

プエルタ選手のトラック世界選手権優勝をはじめ、2018年はトラックでもロードでもコロンビア選手の活躍が多く見受けられます。どのような育成方法を取られているのかお伺いしてもよろしいでしょうか。

まず知っていただきたいポイントとして、コロンビア人は自転車、そしてサイクリングが大好きなんです。

コロンビアでは移動手段として自転車が主流なんです。移動手段から始まり、国が主催するイベントなどのアクティビティーとして使われ、その1番上にプロの自転車競技が存在します。小さい頃から自転車競技が身近にあることで、キンタナやウラン、そして80年代後半に活躍したルイス・エレラのような選手が育ちました。

キンタナ

TRIESTE, ITALY – JUNE 01: Nairo Quintana of Colombia and the Movistar Team celebrates winning the 2014 Giro d’Italia, a 172km stage between Gemona del Friuli and Trieste on June 1, 2014 in Trieste, Italy. (Photo by Bryn Lennon – Velo/Getty Images)

コロンビア人は自転車が大好き、とのことですが、コロンビア自転車連盟として競技に参加してもらえるようなプロモーション活動は行なっていますか?

連盟は、国内各地に多くのスクールを開いています。また年間を通じて、連盟主催のレースが多く開催されますので、14歳の若い選手からエリート選手まで、幅広い年齢層の選手が出場できます。特に多いのは若い選手のためのレース。若年層のレースのレベルが高いのは特徴的だと思います。不思議なことに、皆がプロになりたがりますね。

エクトル・ファビオ氏

プロになりたがる、その理由はなんでしょうか?

重要なのは「家族」ですね。家族からの理解やサポートがあることで、子供の頃から良い環境で練習することが出来ます。そして、家族が一丸となって良い選手になることを目指します。これがキーになるのだと思っています。

また、各地域に連盟の支部を設けているので、指導者が選手を常に見ることができます。その指導者たちが各選手の能力や適正を判断し、最終的に15歳前後の年齢で自分の進みたい種目を決定します。

だいたいの選手はロードレースの選手を目指そうとします。

自転車競技は国内人気No.2のスポーツ

コロンビア内のスポーツで自転車競技の人気は何番目でしょうか?

最も人気が高いのはサッカーです。2番目が自転車競技だと私は自信を持っています(笑)悔しいですが、サッカーが1番です。

おそらくロードレースも含めた自転車競技全体で国で2番目の人気になる、ということだと思いますが、それがトラック競技だけだとどうでしょう?

ボゴタ・メデジン・カリなどの北の地域では人気があるといえます。あとは大西洋側も少し。

国内では国の援助で多くのトラック競技大会が開催されています。その中でも2014年のトラック世界選手権大会、そして毎年のように開催しているトラック・ワールドカップはもっとも規模が大きい大会です。1996年位からでしょうか、毎年のようにトラック・ワールドカップを開催していますね。

エクトル・ファビオ氏

意地悪な質問で申し訳ありませんが、野球と比べたら人気はいかがでしょうか?

国全体ではサッカーが1番ですが、カリブ海に面した地域だと野球が1番人気になります。場所によって変わりますが、カリブ海側の自転車人気は4~5番目といったところだと思います。

コロンビア全体で考えると?

太平洋に面したこちら側では、野球よりも上ですね。こちら側でもしトラック競技と野球、同時に大会を行ったら、たくさんの人がトラック競技に観戦しに来ますよ。ただ、全体でというと地域ごとに異なるので、何とも言えませんね(笑)。

強豪選手の存在で競技人口が増えている

プエルタ選手、ガビリア選手など、トラック競技の強いコロンビア選手がいますが、世間への影響の程はいかがでしょうか?

プエルタやガビリア、マルティン・ロドリゲス(コロンビア初の世界チャンピオン)は若い世代の目標・道標として重要な存在です。今はプエルタとガビリア、アランゴ等がアイドル的な存在となり、競技人口が増えてきていますね。将来第2、第3のプエルタが出て来ることは間違いありません。

プエルタ(コロンビア)

プエルタ(コロンビア)

自転車競技の底上げには、資金援助も重要

既に大きな成功を収めているコロンビアの自転車競技ですが、さらに強くなるためにはどのようなことが必要なのでしょうか?

今のように大会をたくさん開催すること、そしてスポーツ機構やスポンサーからの援助収入を増やすことが必要です。自転車競技には投資できる価値がまだまだあります。現在でもスポーツ機構とCOC(コロンビアオリンピックコミッティー)は有望な選手に手厚いサポートをしてくれていますが、このサポートこそが金銭面でもとても重要です。

さらに自転車競技が盛り上がるために

自転車連盟としての夢はありますか?

あと2つ、3つ競技場を増やしたいです。そして、さらに多くの大会を開いて、競技のレベルをもっと高めていきたいです。さらに、五輪や世界選で良い成績を残し、より良い自転車競技の道を切り開いていきたいですね。

エクトル・ファビオ氏

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