勿体ない精神

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1本の電話から始まった競輪選手への道

そんな時に出会ったのが「ガールズケイリン」。友人と興味を持って調べてみたこと、先述した持ち前の「勿体ない精神」を活かして、競輪選手へと一歩を踏み出した。

「スケートの引退が見えた時に、そこに競輪があったので、すぐに頭を切り替えられました。ちょうど“ガールズケリイン”が始まったタイミングでしたし、TVやブログなどで情報も得ることが出来ました。

最終的には東京の選手会に電話して『競輪選手になりたいんですけど……』とコンタクトをしてみたら応対してもらえたので、どうにでもなりますよね(笑)私の競輪人生は1本の問い合わせ電話から始まりました」

背景の強み

2016年に日本競輪学校に入学、2017年にデビューしメキメキと頭角を現していった梅川選手。持ち前の負けん気の強さで次々とレースを制していった。デビューしてから今までビッグタイトルこそ手にしていないものの、ビッグレースの決勝には必ず名前が出る選手にまで成長した。そしてその理由には梅川選手の背景が関係している。

「競輪では、長いスポーツ人生を活かせているとは思います。体力的な要素もありますが、スケートのレースで経験してきたこと、トレーニングで経験してきたこと、全てをそのまま活かせるのが競輪だと思います。レースへの向き合いかた、トレーニングへの考え方などは今も昔も変わりません。

スピードスケートをやっている人であれば、夏場のトレーニングで自転車に乗っているので、経験者と同じようなレベルで最初から自転車に乗ることが出来ます。実はロードレースの大会にもスケート選手は出場していて、表彰台に絡む選手もいます(笑)

トレーニングとして自転車での乗り込みをハードに行っているので、他の競技に比べたら自転車競技選手として切り替えることは難しくないと思います。

ただ問題は自転車が好きかどうかという点でしょうか……(笑)」

これまで経験したことが活きる上に、自分のフィジカルも維持、いや維持ではなく更に強化することも出来る。まさに梅川選手にとっては最高の職業として「競輪選手」を選択したのだった。

競輪選手として生きる、その魅力とは

そしてスピードスケートでは感じることが出来ない、競輪選手としての魅力を梅川選手は加える。

「スケートでも応援してくれる方々はいましたが、競輪では不特定多数のファンの方たちに応援されて、見ず知らずの方が車券を買って応援してくれています。もちろん車券を買わなくても応援してくれる方はいますし、今ではネット上で買ってくれている方もたくさんいます。そういった応援が数字で伝わるし、そうなると自分のレースには責任が生じてくるんです。

それが面白さというか、自分の存在意義というか、走ることによって自分を表現する。それをたくさんの方に観てもらえているわけです。これはマイナースポーツでは味わえないことですし、競輪選手になれば誰にでもこの経験を得るチャンスがあります。これは本当に日本に競輪があるが故の特殊なものだと思います」

更なる魅力として加えられたのは梅川選手がガールズケイリンと二足の草鞋でトップを目指す自転車競技、オリンピックについて。

「競輪選手をやっているから自転車競技も出来ていますし、競輪選手でいるから自転車競技を続けることが出来ています。

自分と同じような道を歩む人がいるならば、まずは競輪選手になってから世界を目指すのもありだと思います。人によっては他の競技で叶えることが出来なかった夢を叶えるチャンスが再び訪れます。こんな機会に恵まれることは今後無いですからね」

スピードスケートで学生日本チャンピオンにまでなった梅川風子選手。

今は競輪選手として日本のトップを目指し、自転車競技者として世界のトップを目指している。

第2のチャンスを彼女はモノに出来るのか。

「こんなスポーツ、他にないだろ?」

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