全てを捨てて、30歳での競輪デビュー

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大人になっても夢を追いかける

一丸尚伍, 近谷涼, 1000mTT, 第121,122回生 第2回記録会

Q:同期の中でも年上の方でしたが、それを感じる部分はありましたか?

結構ありましたね。みんな行動や言動に若さがあるというか……自分が大学生の頃と同じノリでしたね。もちろん身体的にも、疲れの出やすさなどを感じることはありました。若い頃は睡眠時間少なめでガンガンやることもできてたんですが、最近は体のケアを入念にしています。

Q:この年齢で養成所に入ったからこそ、気づくことも多かったんでしょうね。

10歳ほど年下の子がかなりいて……10年間競輪選手をしていたら、何走もできるじゃないですか。スタートラインが違います。「早く成長したい」の思いがとても強くて、その結果この道がベストなんだな、と思いました。

Q:シンプルに「すごいな」と感じてしまいます。近谷選手は良くも悪くも「一直線」なところがありますよね。

そうですね、思い込みやすいというか……ブリヂストンにもそういう部分を買ってもらっていたと思います。

Q:まさに「CHASE YOUR DREAM」。※ブリヂストンのスローガン

はい、真面目すぎるが故に「気をつけなよ」と言われることもありました(笑)

近谷涼の「これから」

Qualifying / Men's Team Pursuit / TISSOT UCI TRACK CYCLING WORLD CUP IV, Cambridge, New Zealand, 沢田桂太郎 窪木一茂 今村駿介 近谷涼

Q:今後の競技との付き合い方はどうなる見込みでしょう?ナショナルからは抜けるにしても、全日本選手権などには出場する?

全プロ(競輪選手による自転車競技の大会)には出ようと思っています。ただ、どれくらい競技と関わっていくかは現時点では決めていなくて……ひとまず目の前のことを集中してやっていく形になります。

まずは競輪、というスタンスです。競技はその次。ただロードは練習の基本ですのでずっと続けていきますし、タイミングが合えばブリヂストンメンバーとしてレースに出ることもあるかと思います。

Q:ブリヂストンの所属は継続なんですね。

はい、契約は継続させていただいてます。脇本さんや新山(響平)さん、太田りゆさんなど競輪選手も所属しているんですが、みなさんナショナルチーム所属が前提なんですね。その点僕は例外的なので、とてもありがたく思っています。

Q:会社(三和シヤッター)の方々は何かおっしゃってましたか?

びっくりされていました。でも子どもの頃から「競輪選手になりたい」と思っていて、それをもう一度目指すということを応援してくれました。「もう1回そこにいくんだね」と。

競輪の日程が決まったら教えてね、とも言われました。今でも繋がりはありますので、もしかしたら競輪場に応援に来て下さるかもしれないです。快く送り出してくれて、すごく感謝しています。

Q:ナショナル、ブリヂストン、会社とさまざまな繋がりがある中でそんな決断をするのは、大変なものだったでしょうね。

はい。僕は様々な活動をさせてもらっていて、その中で多くの繋がりを持つことが出来たことは幸せなことでした。でも最後は自分の気持ちを尊重したかったんです。

人生の第2章が幕を開ける

近谷涼, 卒業式, 日本競輪選手養成所(JIK)

Q:今後の目標を教えてください。

まずは1走1走を全力で走ること。そして1日も早くS級に上がって、上のステージで走りたいと思っています。

本デビューの予定は未定ですが、4月の下旬からルーキーシリーズがスタートします。おそらく西日本で走ることになるかと思います。

これから僕の人生第2章のスタートだな、と思っています。間違いなく荒波が待っていますが、頑張っていきたいです。

【前編】「どんなにダメでも、立ち止まることはできない」会社員アスリート近谷涼インタビュー