超越した存在への憧れ

時に暴力的な程

男子ケイリン1回戦

人間の力を遥かに凌駕し、暴力的ですらあるパワーを秘めた存在に魅了されてしまうのは、自らの想像を超越した存在への憧れからかも知れない。

コンマ1秒を争い、その瞬間の中で駆け引きが行われる。さらにはチーム同士の戦略、レギュレーションの中で繰り広げられる機材開発の戦い・・・そして勝者は1人。モータースポーツ・自転車競技、それぞれの魅力を分解して考えると非常に共通項が多い。その証拠に車好きがロードバイク乗りになるパターンも多いし、実際に自転車の選手で車好きな人も沢山いる。

役者は揃っている

しかし自転車トラック競技はマイナースポーツ。ジャパン・トラック・カップ、全日本選手権の様な大会でも観客の数は非常に少ないのが現状だ。

それでもトラックパーティーの様に、新たな魅せ方で新ファン層を生み出すきっかけ作りも行われている。トラックパーティーはスポーツ性とエンターテイメント性をミックスさせ、トラック競技の可能性を広げたイベントだ。さらに、元ネタの6DAYは興行ビジネスとしても確立されており、トラックパーティーにはメジャースポーツ化に必要な“お金”を生む部分で掘り下げる余地が、まだまだある。

女子ケイリン

女子ケイリン

日本のトラック競技界には、昨年のワールドカップにおけるメダルラッシュという明るい話題もあり、日本人選手の実力が世界レベルである事を証明した。短期登録制度を利用し、トラック競技の世界トップ選手が集まってもいる。コレがいかに凄いことかあまり語られないが、F1ならルイス・ハミルトンやジェンソン・バトンが日本で走っている様なもの。役者は揃っているじゃないか。

チームスプリント・ロシア

シェーン・パーキンス(左)、デニス・ドミトリエフ(右)の2人も日本の競輪に参加していた。

自転車トラック競技は人々へ興奮を与え、魅了する要素がある事は間違いない。あとは料理の仕方次第だ。

Photo & Text : Shutaro Mochizuki