自転車競技は1/1000秒で勝敗が決まる競技。選手やコーチ達は日々「速く走る為にはどうすれば良いのか」を追究している。

パシュート種目を速く走る為の7つの要素

トラック競技のバイクには余計な物はついていない。変速機やブレーキもなく、とにかくシンプルだ。しかしその”シンプルな自転車”を作るために沢山の時間と手間がかけられ、日々試行錯誤が繰り返されている。トラック競技の”スピード”は、計算流体力学ソフトウェア、風洞研究など、様々なテストによって生み出されているのだ。

本記事ではトラック競技の科学について、UCIコラム「The science of track speed: rider, machine and environment in harmony」を元にお届けする。

フレームの剛性

Qualifying / Men's Team Sprint / TISSOT UCI TRACK CYCLING WORLD CUP IV, Cambridge, New Zealand, Ethan MITCHELL イーサン・ミッチェル

現在、自転車競技ではカーボンフレームが主流となっている。カーボンは”軽量性”と”剛性”のバランスが取れており、トラック競技に必要な要素を備えている。

※剛性とは:物体に外力を加えて変形しようとする時、物体がその変形に抵抗する性質のこと

オランダのジェフリー・ホーフラントを例に挙げてみよう。2019年6月にベラルーシで開催された「ヨーロピアンゲームス2019」にて、ホーフラントは200mフライングタイムトライアルの海面記録を9.448秒で更新した。

この時の平均スピードはおよそ時速80km。これだけのスピードを出す選手自身ももちろん凄まじいが、これだけのパワーに耐えるフレームも大変なものだ。

特に短距離種目は短時間で高出力となり、フレームに十分な剛性が無ければ、選手のパワーにフレームが負けて力を推進力へと変える事ができないため、剛性は重要視されている。

ホーフラントのフレームに十分な剛性が無ければ、この新記録は出せなかっただろう。

フレーム形状と空力

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