マティエス・ブフリ

2019年の世界選手権ケイリン覇者であり、2016年のリオオリンピックでもケイリンにて銀メダルを獲得。名実ともに強豪オランダを代表するスプリンターの1人だ。

BEAT Cycling Clubに所属しており、また短期登録制度での来日経験も豊富なため、日本のファンにも馴染みの深い存在だろう。

そんなブフリもまた、オリンピック代表争いの渦中で厳しい戦いを強いられている。

Men's Keirin Final / 2019 Track Cycling World Championships Pruszków, Poland

前述のヒューゴ・ハックコーチへのインタビューでは「ブフリがオリンピックへ出場するためには、チームスプリントの第2走か第3走の座をハリー・ラブレイセン/ジェフリー・ホーフラントから勝ち取るしかない」との発言が飛び出している。

ブフリは2020年の世界選手権の予選でチームスプリントを走っているものの、1回戦と決勝ではメンバーから外れてしまっている。ワールドカップではBEAT Cycling Clubからチームスプリントへ出場する場面も見られたが、第1戦で銅メダル、第2戦で4位とオランダナショナルチームを上回ることは出来なかった(オランダナショナルチームは1~3戦を3連続優勝)。

Men's Team Sprint / TISSOT UCI TRACK CYCLING WORLD CUP II, Glasgow, Great Britain

BEAT Cycling Club

オランダのオリンピック代表選考ではチームスプリントが最優先とされるため、ブフリがメンバーとして生き残ることができなかった場合は「2019年のケイリン世界チャンピオンがオリンピックに出場できない」という事態に陥るのだ。そしてこれは2020年の世界選手権、1kmタイムトライアルで優勝を果たしたサム・リグトレーにも同じことが言える。

どの国がどれだけ東京オリンピックの出場枠を獲得するのか、その枠数は世界選手権で決着が付いた。

だが、選手達の争いはそこで終わりではない。各国での選考を勝ち抜いた選ばれし者だけがその枠に自らの名を入れることが出来るのである。

来夏の伊豆ベロドローム、オランダの国旗を背負ってトラック上を走るのは一体誰なのか。