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全てをかけて臨んだケイリン
「今までの人生で一番だと言える程に緊張しました」
東京オリンピックが終わり、インタビューを行ったのは夏から秋にかけての季節の移り目。人生の大舞台に立った新田から、正直な言葉が漏れた。
新田が最も力を入れていたのはケイリン。その前にスプリントにも出場していたが、結果を残せていなかった。崖っぷちで迎えた最後のケイリンには、これまでの競技人生の価値を決定付ける意味があった。
「1回戦で1着が取れて良かったです。でも自分の中で地に足を付けて、といった状態とは違うような感覚でした。感覚が少しずれているなと」
新田がすべてをかけて臨んだケイリンは、2日間にわたって実施された。
初日は1回戦および敗者復活戦のみが実施され、新田は強豪ひしめくレースで見事1着を取り、勝負の2日目の準々決勝に駒を進めることに成功。幼いころから夢みたオリンピックの舞台、その舞台で夢の実現へ1歩近づいたのがケイリンの初日だった。
「凄くほっとした気持ちでした。初日が人生で最後のオリンピックでのレースになる可能性があったので、絶対にミスが出来ない状況でした」
勝負の2日目は8月8日、東京オリンピックの競技最終日。前日のレースでの快勝に、誰もが新田への期待を持った。
しかし結果は準々決勝敗退。新田のメダル獲得への挑戦は幕を閉じた。
「走っている時に『終わった』と思って……”長かったな”、そう思いました。思い描いていた結果をつかみ取れなかった悔しさはあります」
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