東京2020オリンピック。1964年の東京オリンピックから57年の歳月を経て、日本で2回目の夏季オリンピックとなった。

自転車トラック競技では、2016年リオ大会後より始まった“改革”によって「この大会では数種目でメダル獲得が期待できる」とまで言われていた日本チーム。新型コロナウイルスとの戦いの最中という通常のオリンピックとは異なる状況の中、日本チームは梶原悠未が見事に銀メダルを獲得した。

世界トップのレベルにまで上がった、その理由とは?

本記事では「機材スポーツ」といわれる自転車競技が故の開発秘話をお届けする。HPCJC(High Performance Center of JAPAN Cycling)とのコラボレーション第3弾、Kabuto編。

第1弾 脇本雄太編
第2弾 ブリヂストン編

オリンピックの舞台で試したい

bicycle airtunnel img OGK KABUTO

開発を行う大田さん

Kabutoは古くから公益財団法人日本自転車競技連盟(以下、JCFと略)のサポートを行ってきた。2006年からはJCFのオフィシャルスポンサーとして機材の提供をスタート。その目的は「技術力でどこまで選手をサポートできるか」、その部分を限界まで突き詰めるためだった。そして東京2020オリンピックが近づいた2018年からは、会社として新たな動機が芽生えたと技術開発の大田さんは語る。

「オートバイで培った空力技術をオリンピックで発揮してみたい」 

Kabutoは自転車よりはオートバイのヘルメットで有名な企業。しかしオートバイと自転車では似て非なる物。乗り物も違えば、速度も違う。“オリンピック”という舞台で自転車のヘルメットに対し自分たちの技術がどこまで通用するのか、プライドをかけて挑戦することに決めた。

しかしこの事業には、とてつもなく大きなプレッシャーが圧し掛かる。

他社ヘルメットのパフォーマンスの方が良ければ本番時に”使われない”

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