部にこそ入れなかったけど・・・

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2020年夏、ナショナルチームへ

Q:数年間ガールズケイリンに専念してからのナショナルチーム入りですが、もともと競技志向はあったのでしょうか?

タイムを出すことが好きで自転車にハマったので、競技をしたい気持ちはありました。大会に出たい気持ちもあったし、地区プロに出たりはしたんですが、なかなかタイミングがなくて・・・何年もズルズルしていましたね。

トラックパーティー2018女子ケイリン予選4

2018年にはトラックパーティーにも出場していた

Q:そうしてナショナルチームに加入したわけですが、ナショナルチームの練習はどうですか?

メチャクチャにきつい、です。

練習量が多いわけではないんですが、1本1本に集中する大変さがあります。ウエイト練習もこれまでほとんどやってこなかったし、最初はとてもきつかったです。パワートレーニングも苦手だし・・・「足りないものを補う練習」しかないんです。「好きな科目の、苦手なところを延々とやっている感じ」と言えば伝わるでしょうか・・・楽しいんですが、とてもきついですね。

Q:一番きついトレーニングは?

どれもきついですが・・・男子と一緒に、ゼロスタートから全開で750m走るトレーニングです。

Q:750m全開って、走れるんですか?

おかしいと思いますよね?でも走るんです!!

自分1人で走ろうとすると、意識的にしろ無意識にしろ、ある程度加減しちゃうんです。でも「男子と一緒」だから限界以上のものを出さざるを得なくなります。最初は体調を崩しました(笑)

持ち味がわからないんです、今!

佐藤水菜, 平塚競輪場, KEIRINグランプリ2020

Q:ご自身の持ち味はなんだと思いますか?

・・・それが、ないんですよね。ダッシュもないし、パワーもない、トップスピードもない。ガールズケイリンでは通用しても、ナショナルチームでは全然通用しないんです。

1人で練習していた時は、みんなが褒めてくれるから「私はダッシュ力がある!長い距離もいける!」と思っていました。追走技術もあるつもりだったんですが、周りのレベルが高すぎる。みんなトップスピードがあるから、まずそこに食らいつける脚力がないと話になりません。だから今、自分の持ち味がわからないんです。

Q:ではナショナルチームでの練習を通じて、どんなことが変わりましたか?

ダッシュやトップスピード、パワーが上がったことですね。それにメンタルも強くなりました。この4つはどれも大事なんですけど、全て上がったと思います。

持久系にはもともと自信があったんですが、キレのいいダッシュやスピードは無かったですし、そのためにはパワーが必要でした。パワーがないことを補うために、ロスなくペダルを回して、少ないパワーで走っていましたが、今はパワーがついたと実感しています。

小林優香vs佐藤水菜, 女子スプリント, 2020全日本トラック

メンタル面で言うと、以前は「負けたらどうしよう」とマイナスなことをよく考えていましたが、今はどーんと構えられています。ですから、ナショナルチームに入ってからたくさんの事が変わりました。持ち味といえるものはないんですが、良い変化しか起こってないです。

Q:ガールズケイリンに変化は?

上がりタイムや、ダッシュの感じが変わっています。入って2〜3ヶ月ですぐ変わりました。自分の走りを研究するのは好きな方なので、変化には直ぐに気づきました。

「自分が一番下」という焦り

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