ストレングス&コンディショニングコーチとは

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公式戦で結果が出るかどうか

Q:仕事を直訳すると「肉体強化とコンディション作り」の専門家のようなイメージを受けるのですが、その為の下準備が大事ということですね?

そうです。そして私の仕事の目的は、選手たちが自転車に乗った時に最大のパフォーマンスを発揮することです。これはとても重要なポイントです。

S&Cコーチの中には勘違いをして、担当するアスリートの身体的数値が高くなれば成功だと思っているような人がいます。結果が出ればその考え方でも問題にはならないでしょうが、身体的数値が良くてもレースでは勝てないということも起こり得ます。そのような場合に「自分は自分の仕事をした」とS&Cコーチたちが言っても、実は“失敗”なのです。

必要なことは“結果”を出すこと。結果とは大会で勝ち、公式に残る“記録”です。いくら身体的数値が素晴らしくても、レースで勝てないならば「何か」が違うことを認め、原因を追究しなければなりません。

Q:ジムでのトレーニング指導が仕事の中心でしょうか?

短距離チームにとってはトラックもジムも私の仕事の範疇です。中長距離にとってはジムのみです。

短距離は現在人数がとても多いので、アカデミー(Bチーム)を主に見るような形を取っており、チーム内でのリハビリも担当しています。ポディウム(Aチーム)のジムトレーニングはジェイソンコーチが担当していますが、何か問題があればトレーニング後に選手たちが私のところへ来るような流れです。

場合によってはマッサーの中山さんや、理学療法士の井上さんも交えながら選手たちを診ます。

元BMX世界ランカー

Q:ファブリースさんは体格がとても良いですが、元々自転車競技者でしょうか?経歴、プロフィールを教えて下さい。

私はフランス出身で、現在50歳になりました。2020年3月からHPCJCで働いています。 元々はBMXの選手で、エリートクラスでは10年ほど走り、フランス代表としても世界選手権などへ出場していました。2000年に引退し、フランス自転車競技連盟のBMXコーチとなり、12~3年働きました。私がコーチになった当初は選手たちがフランスの各地に散っていましたが、南部にトレーニングセンターを作り、体制を整えるなど、今のHPCJCのようなことを行ってきました。

Q:コーチとして一番成功した大会は何でしょうか?

オリンピックですね。2度ほど選手を送り込み、女子のエリートでは金メダルを1つ、銀メダルを1つ獲得しました。

2008年北京オリンピック女子BMXレースでは金・銀をフランスが独占 Photo by Tim De Waele/Getty Images

2014年にフランス自転車連盟を離れましたが、南フランスのトレーニングセンターには留まりました。そこからS&Cコーチとして働き始め、加えてリハビリについて学ぶ学校にも1年間通い、リハビリ担当にもなりました。その後、以前から知り合いだったブノワコーチに誘われ、日本のHPCJCでS&Cコーチとして働き始めることとなりました。

HPCJCには優れたスタッフが揃っている

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