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「東の雨谷、西の深谷」から10余年

Q:昔からの良きライバルである深谷知広選手はパリオリンピックを目指し、今後も競技を続けていくと言っていますが、一緒にとは考えませんでしたか?

深谷とは高校時代から一緒で、彼のことはよく知っています。深谷のいないナショナルチームで練習していた時期も長かったから、もっと一緒にやりたかった思いもあります。一足先に引退となりますが、あとは深谷に託すという気持ちです。

Final / Men Elite Team Sprint / ASIAN TRACK CHAMPIONSHIPS 2020

実は新しく家を建て、トレーニングルームも作りました。そこにこれまで獲ったメダルを全部並べてるんですけど、1番上には高校生の時の、深谷とスプリントを走ってる写真を飾っています。それが自分の原点です。その写真を見て、並んだメダルを見ると力になります。

Q:「やっぱ深谷」なんですね。

「深谷のお陰」という部分は大きいです。まだまだ競輪での深谷の実績には追いついてませんが、いつか深谷と連携できたら・・・と話はしています。

そのためにはまず自分が強くなり(競輪で)同じレースへ出られるようにならなくてはいけません。そのためにも頑張ろうと思っています。

ナショナルチーム歴10年から贈る、若手へのメッセージ

Q:ナショナルチーム生活が凄く長いと思いますが、何年になりますか?

ジュニアカテゴリの高校2年生からです。ロンドンオリンピック後に選考を外され2年くらい休んでいるので、実質10年ちょっとになります。若い頃はなんとな〜くナショナルチームに入り「ダッシュが良い」と言われ、なんとなく1走をやって、タイムがそれなりに出て・・・そのまま続けていました。

Qualifying / Men's Team Sprint / Track Cycling World Cup VI / Hong-Kong

でも「世界でやっていこう」と思うなら、それじゃダメなんだってわかりました。「なんとなく」の練習ではなく、きちんと考え、本番のイメージを持つことが大事。

そしてナショナルチームに居ることで、練習への姿勢以外にも変化がありました。若い時は「タイムだけを出せば良い」と思って走っていましたが、ブノワコーチが来てから、チームメイトを家族のように思う方向へ変わったんです。

チームスプリントのメンバーとはいつも一緒にいました。ご飯も一緒に食べに行き、たくさんコミュニケーションをとりました。そんな中で「みんなで頑張る」という気持ちが生まれたと思います。

Final / Men's Team Sprint / TISSOT UCI TRACK CYCLING WORLD CUP IV, Cambridge, New Zealand, 深谷知広 新田祐大 雨谷一樹 ブノワ・ベトゥ ジェイソン・ニブレット

やっぱりチームワークが大切で、その結果として2019-20シーズンは良い成績が出たんだと思います。

Q:歴代のナショナルチームのコーチをご存知なわけですが「ブノワコーチは格別」のような感じはありますか?

そうですね。過去のナショナルチームも経験しているので、今のナショナルチームのレベルの高さがわかります。ブノワコーチの指導はすべてにおいて「これがナショナルチームなんだ」と感じられるものでした。逆に若手の子達は最初からこのレベルを経験出来ているので、すごく良い環境にいると思います。

Q:チームスプリントの1走これから目指す!という人にアドバイスをお願いします。

1走は純粋にタイムを追えて、そのタイムの変化がすごく楽しいですし「チームのスタートを切る」という役割はすごく気持ちが良いです。魅力的な部分がたくさんある役目なので、良いスターターが増えてくれると嬉しいですね。

Qualifying / Men's Team Sprint / 2020 Track Cycling World Championships, 雨谷一樹 Amagai Kazuki, 新田祐大 Nitta Yudai, 深谷知広 Fukaya Tomohiro

これから同じ目標を目指す人たちには、「1日1日を無駄にできない」と思ってもらいたいです。なんとなくの練習ではなく、きちんと考え、本番のイメージを持つこと。それが日々の成長につながると思います。

Q:ちなみに、若かりし頃の雨谷選手はそういうこと考えてましたか?

完全に考えていませんでしたね(笑)

後編はこちら【独占】後編:散った夢、新たなスタート…雨谷一樹インタビュー