もう一度世界へ

プロツアーに行けなかった元ロードの選手が、トラック競技を「再度世界に挑戦する場所」として選ぶことは多々ある。ホロウェイにとってもそれは同じだった。
また、2016年のリオデジャネイロオリンピック終了後に、UCIはオムニアムのルールを変更した。それまで合計6種目あった中のタイムトライアル2種目を撤廃し、1日で4種目のレースを行う現在のスタイルとなったこともホロウェイの挑戦への後押しとなった。
そして2017-18シーズンのワールドカップ・チリ大会では橋本英也との激闘を制して優勝を果たしたホロウェイ、次シーズンから始まるアメリカチーム内でのオリンピック代表枠争いに名乗りを挙げることに成功する。
立ちはだかる問題

オリンピックへの道、その道は長く険しい。最終目標であるオリンピックに辿り着くためには、早い段階でワールドカップの舞台に立ち、世界のレースを経験しておくことで有利になれる。しかし立ちはだかる問題はいくつもあった。
まずは金銭的な問題だ。世界の多くの国ではトラック競技で生計を立てることは難しい。その為、スポンサーの理解を得るなどバックアップ体制作りから始めなくてはならないし、自身で資金集めに奔走することも必要になる。ホロウェイは環境づくりから始める必要があった。
更に「長過ぎる選考期間」だ。およそ3年間に渡る選考期間は選手を精神的にも肉体的にも疲弊させる。代表選手はオリンピック直前まで確定されないために、選手は毎回ベストな結果を求められる。その中でナショナルチームに選抜されるための戦いがあり、チームがオリンピック参加枠を獲得するための戦いがあり、そして自身がオリンピックに選考されるための戦いがある・・・オリンピック後の1年間以外は最高の成績を出し続けなければならないプレッシャー、それは彼を精神的に追い詰めた。