あと1年、鍛えるべき部分は沢山ある

Q:新型コロナウイルスの影響でオリンピックの延期、それに競輪開催の一部も中止になっています。モチベーションはどのように保っていますか?

正直に言って、オリンピック延期が決まった瞬間はモチベーションが下がりました。その後にブノワコーチ(短距離ナショナルチームヘッドコーチ)から「また1年間、強くなるために鍛えるべき部分は沢山ある」と言われました。今は新しいことをやっている最中です。

それが実現するかどうかはわかりませんが、自分で新しい目標を作りつつ、オリンピックへ向けてモチベーションを上げていく感じです。

Q:「新しいこと」とは?

「もっと良いポジションがあるから試してみないか」と言われ、空気抵抗を下げてみようとしています。

Q:お得意のあの背中を丸くする体勢から、さらに低くするという・・・?

Semi Final / Men's Keirin / 2020 Track Cycling World Championships, Wakimoto Yuta 脇本雄太, Sergey Ponomaryov セルゲイ・ポノマリョフ, Sebastien Vigier セバスチャン・ビジエ

低くするというよりは、横に狭くするという感じです。

世界選手権の映像を見たら、肘が開いてしまっているフォームだったんです。それをもっと効率良く閉じられないか、と。

ポジションやジャージを改良したり、何が最も空力的に良いかを探る中で、新たな改善点や試すべき点が見つかっています。

アワンの強さ

Q:今、脇本選手の200mFTT(フライングタイムトライアル)が9秒7から8くらいですよね。それを1年で9秒5にする・・・みたいな話でしょうか。

「0.1秒縮めるのに1年かかる」とよく言われます。だから現状頑張っても9.6秒にしかならないんですけど、そのタイムを縮めることにより、スプリント本戦での強力な武器になると思ってます。0.1秒でも縮めていきたいと思っていますね。

Qualifying / Men's Sprint / TISSOT UCI TRACK CYCLING WORLD CUP V, Brisbane, Australia, 脇本雄太

Q:オリンピック代表へ選ばれたら、ケイリンだけではなくスプリントにも出場しなくてはいけませんからね

そうです。そうなった場合、恥ずかしいレースはできないですから(笑)

Q:では、自身にとって“恥ずかしかったスプリントのレース”とは?

そりゃもうありますよ(笑)

だいぶ前ですが、ロサンゼルスでのワールドカップです。スプリントの予選は通過し、1回戦へ進みました。しかし、あまりにもスプリントの経験が無さすぎて、途中で落車しました(笑)

Q:逆に「これは会心の出来だった!」というレースは?

去年(2019)のアジア選手権で(アジズルハスニ・)アワンに勝ったレースですかね。1本獲った瞬間。

Final for Gold / Men Sprint/ ASIAN TRACK CHAMPIONSHIPS 2020

Q:アワン選手は脇本選手から見て、相当強いですか?

テクニックに関しては勝ち様がないレベルです。経験の差が出ます。経験の差を埋めるためには、それを上回るスピードを身につけるしかないと思います。アワンが持っていないものを鍛え、レースでは自分の強みを発揮することが、勝ちに繋がるのではないかと思っています。

Q:2020世界選手権で、アワン選手はハロン(200mFTT)を9秒5とかで走っていましたが・・・素直な感想としてはどうでしたか?

ビビりました(笑)

実はスプリントの予選をテオ・ボス(オランダ・BEAT Cycling Club)と一緒に客席から観ていましたが、明らかにレベルが上がっているのを見て、テオが「俺は引退だ・・・」と言っていました(笑)それくらいのレベルでした。

Qualifying / Men's Sprint / 2020 Track Cycling World Championships, Azizulhasni Awang アジズルハスニ・アワン

Q:あれ程すぐにタイムは上がるものでしょうか?世界選手権で各国選手が「秘密兵器」を出してきた・・・みたいなことは感じましたか?

僕はそういう風に感じました。皆それぞれ「秘密の練習」をやってきたのだと思います。アワンに関しては・・・明らかにギアの枚数が変わったような感じを受けました。

世界最強オランダを止められるのは日本

Q:脇本選手はリオ オリンピックと、その直前の世界選手権も経験し、今回東京オリンピック直前の世界選手権も経験しました。オリンピック直前の「一番レベルが高い」と言われる世界選手権を2度経験し、共通点または違いはありましたか?

リオ オリンピックはイギリスがメダルを総ナメする感じでしたが、その直前の世界選手権でイギリスが強かったかと言うと、短距離勢は全然そんなことありませんでした。むしろドイツ勢がものすごく強かった時期で「ドイツがこのままオリンピックを獲るのかな」と思っていたら、実際はイギリスだった。前回はそういう傾向でした。

でも今回の世界選手権は明らかにオランダ勢が強くて、このままオリンピックでもオランダ勢が強いままなのではないかな?という気がしています。

Final / Men's Team Sprint / 2020 Track Cycling World Championships /オランダ Netherlands/ ロイ・バンデンバーグ Roy van den Berg, ハリー・ラブレイセン Harrie Lavreysen, ジェフリー・ホーフラント Jeffrey Hoogland, マティエス・ブフリ Matthijs Buchli

Q:オランダに追いつける国はどこだと思いますか?

ケイリンなら日本だけじゃないでしょうか。スプリントは・・・わかりませんが、オランダに勝てる奴がいるか?と首をかしげてしまいます。

30代の選手にとってのオリンピック延期

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