トラック競技は私の人生
これからのキャリアについては少し時間を掛け、何をするか考えたいです。こんなに時間があるのは本当に初めてなので・・・・ただトラック競技に携わり続けたいとは思っています。皆が私を信頼してくれるし、競技を通じて様々な物を得たので、私でも何か恩返しが出来るのではないかと思っています」
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勝ち続けることが全てだった、競技者としての人生。その人生に区切りがついた今、彼女にとってのトラック競技とは、何なのか?
「トラック競技は私にとって生活の全てであり、人生です。
トラック競技は私が最も熱中した事で、本当に好きでした。競争している時に凄いスピードでコーナーに突っ込んで行くのも大好きでした。もちろん勝った時はいつも嬉しかったです。
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これから寂しく感じるのは、あの会場に居た人々と共に居れなくなること。大会へ出る度に世界中の友人に会うことが出来ました。今回(ベルリン開催のワールドカップ期間中)はオーストラリア、ロシア、オランダチームの人たちがお見舞いに来てくれましたが、やっぱりあの会場で、あの雰囲気の中にいる自分、その瞬間が恋しくなるのだと思います。何かを失ったとか、試合に出れないとか、そんなことではなく、あの会場にいた友人、知人、雰囲気、それらを前と同じように感じられなくなるのがとても悲しいです。
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だからテレビやインターネットで皆がレースをしているところを見ると胸が痛くなりますね。皆を応援したいのですが、ここからでは何も出来ません」
誰もが認めるであろう世界最強スプリンターは、新たな人生の選択を迫られた。しかしフォーゲルはそれを前向きに捉えていた。フォーゲル程、既に成し遂げて来た人物ならば、きっと新たな挑戦でも成功をするだろう。そう確信させる強さが、彼女の瞳には灯っていた。
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インタビューの最後にこんな一言。「しゃべり過ぎかしら?ドイツのTVに出る時は秒数が決められているから、私はマシンガンみたいに喋るから大変なんですよ~(笑)」と少女の様に笑った。僕らの親愛なるクリスティーナ・フォーゲルは何も変わっていない。
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