世田谷で暮らした大学生活から、競輪選手へ
Q:大学時代、競輪選手という道は頭の中にありましたか?
全くありませんでした。競輪を観てもいなかったし、興味もなかったです。兄が大学卒業後に競輪選手の道に進んで、話を聞いているうちに、という感じでした。
当時は将来のことを全然考えていませんでした。3年生になって就活が迫ってきたところで……正直何もしたくなかったんですけど(笑)、でもお金は欲しいし、服とか買いたいし。そんな中で体を動かすことは嫌いじゃなかったので、競輪選手を目指してみました。
Q:高校まではサッカーをされてたんですよね?
はい、でも弱小校でした。ポジションはだいたい前の方で、フォワードとかサイドとか。短距離だけ足が速かったです。サッカーで大学に進んだわけでもなく、附属高校だったのでそのまま推薦で大学に入りました。商学部でしたね。
Q:どうしてその専攻に?
東京の大学に行きたかったんです、東京に住みたくて(笑)先生から話をもらったのが商学部で、東京だったし、じゃあそこでといった感じです。キャンパスは世田谷でしたので、兄と一緒に世田谷に住んでいました。今でもまだ東京に住みたい気持ちはありますが、ずっと住むとなると疲れるなと思います。
Q:もし競輪選手になっていなかったらどうなっていたんでしょう?
想像がつかないです。毎朝同じ時間に起きるようなサラリーマンはできないだろうし……親のコネで地元就職、とかですかね。
養成所に2回入った男
Q:本来なら113期として卒業する予定でしたが、5分遅刻して卒業ができなくなった……という話が出ていますが、これは本当の話?
はい、無期限停学のような形になりました。
Q:よくそこで腐らなかったなあと思います。
「辞めてもしょうがないし、とりあえずやれるところまで」と思っていました。反省文を書いて、夏と冬の2回、伊豆に行って1kmを計って……という感じでした。
Q:そうして再入学した117期。トータルでの在所期間は他の候補生より長いですよね?
普通に養成所にいたら10ヶ月なので、113期の期間と合わせるとまるまる1年くらいいたことになります。30年くらい昔は結構あったみたいですよ。
Q:思い出深いことはありましたか?
停学以外だと、あまりないかも……終わってみると「めっちゃ濃い1年だったな」と思いましたね。卒業式で帽子を投げるときはちょっとジンときました。嬉しいけど、寂しい。
Q:じゃあ「あと2ヶ月いていいよ!」って言われたら?
絶対嫌です(笑)
早くにG1に出始めた同期たち
交友関係は広い方じゃありませんが、同期とは仲良くやっています。この前も豊橋で地区プロがあったんですが、その時は豊橋の同期と連絡をとってご飯を食べに行ったりしました。「117期は仲が良い」とよく言われますね。
Q:More CADENCEとして付き合いのある117期といえば、ナショナルチーム所属の寺崎浩平選手です。
寺崎さんは117期の中でも早くにG1デビューした1人です。最初の頃はG1に僕と町田(太我)と石原(颯)、それから寺崎さんの4人だけだったりしたので、この4人でよく集まっていました。
寺崎さんって開催終わったらすぐ帰りたい人なんですけど、それを捕まえて、ご飯に付き合ってもらいます。同期の中でいじられるタイプになってます。本人もあんまり嫌がってないし(笑)
強くなりたいというより「弱くなりたくない」
Q:卒業してからは20連勝。勝つごとにモチベーションは上がりましたか?
負けたくない気持ちが強くなりました。練習せずに弱くなるのが嫌、という感じで、強くなりたいというより弱くなりたくない気持ちが強いです。成績が下がると色々言われちゃうし……
例えば、一昨年(2021)は成績が良すぎたんです。去年(2022)は調子悪いとか色々言われたんですが、でも普通の成績だと思います。
Q:東京のキャンパスライフから養成所を経て地元に戻ってきたわけですが、岐阜での暮らしはどうですか?
なんにもないです(笑)観光地としては飛騨があるけど、ここからじゃ遠いですし……。飛騨牛はおすすめです。名古屋とか横浜くらいの感じが好きですが、住むにあたって不便はないです。
Q:地元で暮らしてて、サインを求められたりすることはありますか?
競輪場の周辺だとあります。でも普段の生活ではないですね。競輪はまだマイナースポーツだと思うので、そういった類のストレスはないです。
Q:G1を獲られたことで、これまでと別の反応があったりはしましたか?
地上波に映ったので、結構連絡は多かったですね。LINEが300くらい溜まってて、返信が大変でした。
Q:ここまでの競輪選手としての歩み、自分が思い描いていたような競輪選手生活を送っていますか?
思っていたより順調ですね。こんなに早くタイトルを獲れるとは……早いことに越したことはないのですが、こんなに早いとは思っていませんでした。