『2021 BMXレーシング全日本選手権』女子エリートクラスの優勝者、酒井亜樹。ディフェンディングチャンピオンとして挑んだ2022年大会では王座を逃した彼女だったが、その翌年となる2023年に出場した「全日本選手権」はトラック競技となった。

酒井がトラック競技のチームスプリント第1走として迎え入れられてから3ヶ月、ここまでに塗り替えた日本記録は4つ(チームスプリント1回、500mTT3回)。そして8月には早くも世界選手権に挑むこととなる。

酒井亜樹, 女子500mTT, WOMEN'S 500mTT, 2023アジア選手権トラック, 2023 Asian Track Championships Nilai, Malaysia

トラック競技女子短距離チームに突如現れたルーキー・酒井亜樹に、More CADENCEとしては初のロングインタビューを実施。バックグラウンドやBMXへの想い、そしてトラック競技者として挑む「これから」について話を伺った。

伊豆とナガサコ

酒井亜樹, 女子チームスプリント決勝, WOMEN'S Team Sprint Final for Gold, 2023アジア選手権トラック, 2023 Asian Track Championships Nilai, Malaysia

Q:伊豆での暮らしには慣れましたか?

はい、だいぶ慣れてきました。とはいえベロドロームとジムしか行かないのですが、生活サイクルが軌道に乗ってきた感じです。

Q:あれ、休みの日にお出かけなどはしないですか?

しないです、近くのスーパーに買い出しに行くくらいです。お休みの日は家でゴロゴロしています。練習で結構疲れているし、ひとりでわざわざ出かけることもないかなって……でも(長迫)吉拓さんがバーベキューに誘ってくれたりするので、そういうリフレッシュはしています。

Q:長迫選手がいて助かっている、そういうことですね?

TEAM BRIDGESTONE Cycling, 脇本雄太, 新山響平, 長迫吉拓, 予選, 男子エリート, チームスプリント, 2023全日本選手権トラック, 伊豆ベロドローム

はい!同じBMX出身で、同じチームスプリントの第1走で、そして速い。人としても尊敬しています!

Q:長迫選手と前回のBMX全日本選手権では大阪から伊豆まで一緒に車に乗ってきたとか……長時間一緒で腹が立ったりしませんか?

立たないですよ(笑)!ていうかここで腹立ちますとか言えないでしょ(笑)

Q:パーソナルな質問を続けますね。好きな食べ物を教えてください。

果物……ですね。パイナップルと桃が好きです。でも今の時期(初夏)だからこの答えかもしれません。

逆にお肉は苦手で、最近やっと食べられるようになりました。食べられるようになったのが1年前くらいなのですが、それより前は野菜と魚とで、お肉を一切食べずに生きてきました。

ホースパワーは偉大

Q:お肉を食べられるようになったきっかけはなんだったのでしょう?

三瓶さん(BMXレーシングナショナルチームの三瓶将廣コーチ)と蕎麦屋に行った時、私がお肉が苦手なことを忘れて馬刺しを頼んでくれたんです。「ホースパワーだ!」って。

Q:馬力(笑)

「豚肉も牛肉も鶏肉も食べられないのに、馬か〜」と思ったんですけど、食べてみたら案外美味しくて。それで「もしかしていけるのかもしれない?」と他のお肉も試してみて……

鶏肉は脂っこくないから割といけたんですよね、そこを皮切りにだんだん食べられるようになってきました。脂身はまだ苦手なんですけど、他は結構好きになってきました。

Q:そもそもどうしてお肉が苦手だったんですか?

小さい時、自分が食べているお肉が「生きていたもの」って知らなかったんですよ。

Q:???もう少し詳しくお願いします。

魚は魚の形で食卓に出てくるでしょう?だから「魚なんだな」って知ってたんですけれど、鶏肉が鶏だって知らなかったし、豚肉が豚だって知らなかったんです。

Q:???

でもある時、お兄ちゃんに「それ食べてるの、動物園とかにいる豚やで」って言われて、びっくりしちゃって……「あれを殺して食べてるん!?」ってなって、かわいそうって思っちゃって、食べられなくなりました。

それが小学校に入る前くらいです。そのショックの前は普通に食べていたらしいんですけど……。給食とかでは友達に野菜と肉を交換してもらって凌いでいました。

昔は、ゴリラとかは草食なのに力持ちだから「野菜だけでも大丈夫」と思っていました(笑)でも成長するにつれ貧血とかが気になるようになって、「お肉を食べられるならば食べた方が良い」と考え方が変わってきました。

Q:酒井選手はムキムキになりたいタイプですか?

強くなるために必要ならなりたいです。でも必要ないなら大丈夫です(笑)強くなれれば何でも良いです。

きっかけはお兄ちゃん

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Q:出身は大阪の岸和田ですよね。家族構成や、自分がスポーツをする上での環境ってどんなものでしたか?

両親と兄が2人、そして私の5人家族です。お兄ちゃんは7つ上と6つ上。一番上のお兄ちゃんは自転車はやってないんですが、真ん中のお兄ちゃんは競輪選手です。

Q:えっ!?そうだったんですか。

はい、大阪なので古性優作選手とかとは同県になります*。

※酒井拳蔵(大阪/109期、S級2班)

BMXを始めたのもお兄ちゃんの影響なんです。お兄ちゃんは小さい頃からずっと競輪選手になりたくて、自転車部のある高校に入って自転車競技をしていました。その大会会場が岸和田競輪場だったりするんですよ。

お兄ちゃんの応援をしに岸和田競輪場に行き、そこにBMXコースがあることを知って、そこからスタートしました。ジャンプしたりするのがカッコよく見えました。コースの奥側が、ぼこぼこが大きくてカッコ良いんです!

サイクルピア岸和田BMXコース, 岸和田競輪場

岸和田競輪場に隣接するBMXコースはこちらの記事で詳しく紹介しています
▶︎「海、空、そして街 岸和田競輪場を起点に旅する大阪

今はただ速くなりたい

Q:「世界チャンピオンになりたい」「オリンピックに出たい」という理由でスポーツを始めた選手も多いですが、酒井選手はそういうタイプではなかったということでしょうか?

はい、オリンピックにこだわりがあるとかではなく、ただ楽しかったからBMXを続けてきました。

Q:そこから、気持ちの変化はありますか?身の回りには長迫選手やジュニアアドバイザーとしてナショナルチームに関わり続けている新田祐大選手など、オリンピアンの存在がありますが。

みんなが憧れる場所ですから、最終的に目指したいと思う場所ではあります。でもトラックを始めて3ヶ月だし、わからないことばかりだし……

出たいか出たくないかと言われれば、めちゃくちゃ出たい!ですけれど、それより今は「強くなりたい、速くなりたい」の方が強いです。それが最終的にオリンピックにつながれば良いなと思います。

気持ちが常に安定してるタイプ、だけど……

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