腰とのリスクのある付き合い
Q:SNSなどで見ましたが、また腰を悪くしてますか?
「腸骨がまた折れたんじゃないかなあ」と疑っています。ちなみに今(インタビュー中)も痛いんです、座ってしゃべっているだけでも痛い状態。
Q:それは東京2020オリンピック後からの怪我が続いてる状態でしょうか?
そうですね。終わって1ヶ月後くらいからずっとです。オリンピックまでの過酷な練習のせいなのかはわかりませんが、多少はあるのかもしれません。
Q:うまく付き合っていくしかない類のものでしょうか。
完治するかどうかはまだわかりません。でも普通にしてる時と、走っている時とで痛み方は変わらないんですよね。だから気持ちの持ちようかなと思っています。「走ったからといって痛くなるわけではない」とわかってはいるものの、「走って折れたらどうしよう」というリスクへの怖さもあります。
Q:「全力で踏んだことで折れる」というのは、可能性としてはありますか?
はい、そうやって一度折れています。だからそのリスクとの戦いですね。
変化に対応する時期であり、まだ抗える時期でもある
正直に言ってしまえば、30歳を超えたら脚力自体は落ちていくものだと思っています。
Q:以前のインタビューでも「この戦法でやれるのはあと1、2年」とおっしゃってましたね。
宣言通りです、本当に。変化は絶対に求められると思います。
Q:脇本選手の走り方といえば「かまして、ジャン前から行く」です。ウィナーズカップ決勝で古性優作選手の番手についたのも「変化を求められる」からでしょうか?
勉強させてもらいました。立ち回りの勉強です。
僕は基本的に「行ける時に行く」なので作戦会議はありません。一方で(ウィナーズカップ決勝の)古性との作戦会議は綿密でした。「ここでこうなったら相手はこうくるんで、こうしましょう」みたいな。そういうものを結構組んでくれて、実際ほぼその通りだったんです。それで「ああ、そういうことをちゃんとしなきゃいけないんだな」と感じましたね……
Q:今まで考えてなかったのが、逆に凄いですね(笑)
まあ仕方ないんですよ、今までのナショナルチームの中では「考えちゃダメ」だったので。これからは競技生活と真逆のことをしないといけません。
Q:外から見ても「違いがあるんだろうな」とは思いますが、実際走っている人からお聞きすると、やはり「競輪」と「KEIRIN」は違いが大きいんですね。
そうですね。新田(祐大)さんも僕と同じように、変化を求められているところだと思います。変に番手を狙ったりするんですよね。距離も短くなっています。新田さんも「違い」を自覚しているはずです。
Q:今は「模索中」だと思いますが、おぼろげなイメージなどはもうあるのでしょうか?
今年と来年1年間(2023〜2024年)は「いつも通り」で頑張ってみようと思ってます。それでダメそうだったら本気で変えていく必要がありますね。
変化に対応する時期ではあるんですが「まだ抗ってもいいかな」とも思っているんです。
Q:それは体の調子も含めて、ですね。
その通りです。おじさんですよ、もう。
Q:走っていて黄色い声援などは聞こえますか?
まったくありません。野次ばっかりですよ(笑)
賞金首、脇本雄太
Q:脇本選手は競輪選手としてどこまで行きたいと思っていますか?
明確な目標は……今は想像がついてない状態ですね。現状を理解した上で考えると、目標と実力が噛み合ってないんじゃ意味がないので。
Q:不調も抱えているし、34歳にもなったし……年齢についてはいかがですか?いつの間にか34歳です。
よくないですねえ(笑)歳も重ねて、自分を取り巻く環境もどんどん変わっているなと感じます。
Q:取り巻く環境の変化と言いますが、脇本選手はすでに競輪界で名を馳せました。それはご自身でも感じるのでは?
う〜ん、「賞金首」って感じですね。倒したら良いものが貰えますよ(笑)
Q:ゴール・D・ロジャーは55億ベリーの賞金首ですが(ONE PIECE)、脇本雄太は?
2億とかじゃないですか?最初の壁である1億は超えてる、くらいの。賞金首、そうでなければRPGの敵みたいな感じですね。「みんなで倒そう」感がすごく出ていて嫌です(笑)