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「くじ運」だけが課題じゃない、ケイリン

Q:レースのお話を聞かせてください。今年はケイリンで決勝まで進んで、スプリントでも自己ベスト更新。「良い成績だな」と思いますが、ご自身としては?

ケイリンに関しては、決勝以外は自分としても納得のいくレースができました。でも、決勝だけが……うまくいかなかったなと、とても悔しいです。

Q:「くじ運が悪かった」とも聞いています。

そうですね(笑)車番決定のくじの時に1と3が余ってて、「1はイヤだなあ」と思って引いたら、案の定1でした。1に苦手意識があるのが良くなかったですね。

※1を引くとレースがスタートしてから1番前、ペーサー(先導者)の後ろに付かなければならない

1番を引いた結果、後ろがみんな強い選手で、残り2周を目掛けてみんなペースを上げてきたので、そこで結局後手を踏んで挽回できず、という感じでした。

Q:タイミングを逃してしまった?

そうですね。

Q:でも3着まで決勝進出となる準決勝では、ハリー・ラブレイセン(オランダ:2022世界選チャンピオン)に競るところもありました。あのレースは?

体の調子も良かったし、展開もうまく向きました。「もしかしたら勝てるかも」と思ったんですが、僕も焦ってしまって。自分のタイミングで行けなかったので、もうちょっと落ち着いていればもっと良いレースができたと思います。

Q:決勝には悔いが残るとしても準決勝までは良いレースができたと思うんですが、自分としての手応えなどはありましたか?

手応えはすごく感じました。やれる感じがありましたし、展開次第ではしっかり勝負できると感じました。

Q:ハリー・ラブレイセンとは準々決勝と準決勝と決勝、3回同じ組になっていますが、感じたことはありますか?

なんだか力感がないというか、「全開でいってるのかな?」って思ったんですが、スピードはすごく出ているんですよね。余裕そうでした。

ハリー・ラブレイセン

Q:ネーションズカップの第3戦でオランダ勢が「あれっ?」って感じの成績だったので、今回どうなのかなとは思っていたのですが。

あの時は調子が悪かったのかなと思うんですが、しっかり世界選手権に向けて調整してきたんだと思います。やっぱり強いですね。

Q:今回はケイリンで決勝まで勝ち進み、最終6位の成績でした。ご自身の思う「世界との差」とは何でしょうか?

自分の課題はダッシュ力です。僕の後ろにいたジェフリー・ホーフラント(オランダ)は自分と同じように踏み出してラブレイセンの後ろ、2番手まで届きました。でも自分は6番手まで下がってしまった。ダッシュ力の差がすごくデカかったなと思います。

Q:ダッシュ力ってどのように鍛えるものなのですか?

もう単純にパワー、筋力を上げていくことですね。体を大きくして、力をつけていくって感じです。筋肉です。

Q:寺崎選手はウェイトが苦手だったり?

ナショナル短距離の中だと、ウェイトは僕が一番弱いと思います。元々中長距離出身で筋肉の素質とかもあると思うし、フィジカルが強くない。そこが課題です。

Q:ではズバッと出られるようになれば、もっとやっていけるということですね。

はい。

Q:逆に中長距離出身者としての強みもあると思いますが。

もちろんある程度長い距離を行くことができますが、僕自身は人の後ろにつくのが得意です。中長距離をやっていたこともあって追走するのが上手い方だとは思います。そこが強みだとは思いますね。

もうちょっとタイムを出したかったスプリント

Q:スプリントでは予選のタイムで自己ベストを更新されています。これは「やったー」って感じなのか、「出るとは思っていた」という感じなのか、どっちでしょう?

正直言うともうちょっと出したかったですね。ケイリンの方が調子がバッチリ合っていて、スプリントは体が思ったように動かなかった点もあります。

走ってる時の体感としては「あんまりタイム出てないかも」と思っていたんですが、フィニッシュしたら意外と出ていて、そこは良かったです。バンクの形状も合っていたと思います。

でもやっぱり「もうちょっと出せたな」と感じますね。

Q:パリオリンピックの会場にもなるバンクでしたが、走りやすかったですか?

そうですね、とても走りやすかったです。伊豆ベロドロームより上が高いので、そのぶん下りの距離が長くなり、走りやすいです。

Q:プッシュの位置がバンクの下部になったのは、影響ありましたか?

従来はバンクの上部で行われていた予選200mFTTのスタートが、今回はバンク下部スタートに変更された

僕としては、悪いと言うほどのことはなかったです。大会が始まる3日前くらいに急に言われたんですよね。ぶっつけ本番に近い状態でしたが、思ったより落ち着いてできました。

Q:下からスタートするから、バンクの上にあがる分少し体力を使う、という認識で合ってますか?

そうです。若干疲れはするけど、そこまででは、というところです。

Q:対戦はいかがでしたか?

対戦では、僕が一番タイム差のない相手との組み合わせでした。ケイリンでは結構メダルを取っている、コロンビアの(ケビン・)キンテロが相手でしたので、「スプリントでは勝ちたい」と思っていました。

でも、ここでもやっぱり(後ろが良かったのにくじで)前を引いてしまい、相手にうまく駆けさせられて、相手のやりたいことをやらせてしまった感じでした。

Q:話を聞くと、ここでもやっぱりキーは「ダッシュ力」でしょうか。

そうですね。

「まだ足りない」

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