得意な種目は「迷走中」

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途中で辞めるのは信条に反する

Q:これまでに自転車を辞めたいと思ったことはありますか?

あります。結構頻繁にあるんですけど、だいたい毎年頭から4月くらいまでの、寒くて調子が上がらない時はよく思います。「なんで自転車やってんだろう、辞めたいな」って……これはもう高校の時くらいからです。

でも途中で辞めるのは、自分の中の信条に反するんです。辞めたいなと思ってもその日はその日で頑張って、次の日も頑張って……って感じで日々を送っています。

Q:バスケを長くやっていたのも、そういう部分でしょうか。

そうですね。バスケも途中で辞められなくて、中学が良い区切りだったので、そこで辞めにしました。

Q:じゃあ逆に、自転車の「良い区切り」はどこなんでしょう?

今は全日本トラックで日本一になって、ナショナルチームにも入って、日本の中ではトップレベルの位置にいます。それが理由で年明けくらいはモチベーションが無くなってしまい「今、なんのためにやってるんだろう」となっていました。

Q:モチベーションが回復したきっかけなどはありますか?

やっぱりパリを目指してナショナルチームに入っているので、オリンピックに出られるかどうかはまだわかりませんが、それがわかるところまではやり切ろうと思っています。

大学卒業目前で「このまま卒業して良いのかな」という悩みも絡んでいた時期でした。たくさんの身近な人に話を聞いてもらって「やれるところまでやった方が良い」と言ってもらったりして……やっぱり最後までやり切らないと自分じゃないな、と思ったので、自分で回復することができました。

やるからには目立ちたい

山本哲央 河野翔輝 今村駿介 兒島直樹, 男子チームパシュート, 2021全日本選手権トラック

Q:チームとしての思惑はさておいて「この種目でオリンピックに出たい」と思う種目は何ですか?

そこは、チームパシュート一択です。もっと詳しく言えばチームパシュートの1走で、途中で千切れたとしても構わないから、それで出場したいと思っています。

1走って1番カッコいいと思うんです。4人がスタートラインに横並びになって、1走の人にみんながついて行って、1走の作ったスピードにみんなが乗っていく。1番目立つと思います。

Q:目立ちたいんですか?

そうですね。やるからには目立ちたいな、と思います。やっぱり世界を目指している以上、少しは見てもらいたいと思います。

Q:目標としている選手はいますか?

あこがれ、みたいな選手はいないです。あこがれとか目標にしてしまうと、その人を追い越せないと思っています。

周りはすごい選手がいて、尊敬できる人ばかりですけど……結局目指す場所は世界一ですから、自分との戦いになると思うんです。だから目標としている選手は、いません。

結局世界一になっている人も同じ人間なので。「同じ人間にできるんだから、自分にだってできるだろう」と思うことにしています。

Q:この先1年の目標を教えてください。

今年から海外への遠征が増えてくるかと思います。まずは海外遠征に行けるように、チームとしても調子を上げて本戦メンバーに入りたい。そして海外レースでもそれなりの結果を出したいです。