きっかけはツール・ド・フランス

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得意な種目は「迷走中」

河野翔輝, 男子オムニアム, 2021全日本トラック

Q:自転車を始めて、最初から中長距離だったんでしょうか。短距離をやろうとしたことはなかった?

そうですね、僕の高校の練習がロード練習メインだったので。短距離の練習は高校時代一切していませんでした。

Q:得意なのも長距離なんでしょうか?

今は中長距離です。高校3年生位まではずっとロード練習にロードレースの大会、たまにトラックの大会という感じでした。

Q:トラックに移行するにあたって、課題とか違いなど、何を感じていましたか?

高校の終わりから中長距離に主軸を置き始めましたが、練習のやり方自体は変わらないと感じます。中長距離だからといってそれ専用の練習をするわけではなく、基本はロードにあるな、と。

Q:トラック競技で一番得意な種目はなんでしょう?

大学生までは個人パシュートが一番得意だったんですが、最近ブリヂストンやナショナルチームで走るようになって、迷走中です。

Q:それは周りを見て、感じてしまったということですか?

そうですね。上には上がいます。今村(駿介)さんとか、世界の選手とかを見ると……とても「得意」と思えるレベルじゃないな、と感じてしまいました。

今村駿介 IMAMURA Shunsuke, Men's Individual Pursuit, 2022 Track Nations Cup, Glasgow, Great Britain

今村駿介

Q:ではチームとして力を入れている種目でいうと?

チームパシュートの1走です。自分は身長が高くてガタイも良い方なので、周りよりもパワーがあります。そのパワーを活かしてスピードを乗せる役割を期待されています。1走は半分くらいまで頑張って、捨て駒になる……みたいなポジションです(笑)

Q:2021年全日本トラックチームパシュートの優勝メンバーでもあります。あの時の記録は、どのように評価されたんでしょうか?

チームパシュートの練習をそこまで重ねたわけでもなく、今年(2022年)に向けた様子見も踏まえたレースでしたが、そこで4分フラットくらいでした。自分達としても「思っていた通りのタイムだな」という感じでした。

大学生活、ブリヂストン、ナショナルチーム

Q:3月に早稲田大学を卒業されたばかり?ナショナルに入ったのはいつでしょう?

はい、3月で卒業しました。ナショナルチームには2022年の年明けあたりから参加しています。ナショナルに入る前、2021年の年明けからチームブリヂストンサイクリングに入っていたので、静岡県内で生活していました。

Q:授業もオンラインでしょうから、行ったり来たりが頻繁だったわけでもないですよね?

そうですね、それほど環境が変わったわけではないです。

Q:ブリヂストンに入る時ってどんな経緯だったんでしょう?

ブリヂストンの方が選手を探していて、いくつかの大学にお声をかけていたようです。その中で早稲田にも声をかけていただいて、僕に話が来ました。

Q:ブリヂストンに入って何が変わりましたか?

機材面などのサポート面ですね。これまでだったら自分で用意しなければいけなかった自転車やウェア、サプリメントなどを全て請け負ってくれています。レースや練習に関する環境がすごく変わりました。

橋本英也 河野翔輝 今村駿介 兒島直樹, 棚瀬義大 安達光伸 長谷川大悟 山本大智, 古谷田貴斗 冨尾大地 津留崚 原田裕成, 男子チームパシュート, 2021全日本選手権トラック

Q:ではナショナルでの練習は、これまでやってきたものと違いはありますか?

大学生の4年間、うちの部には指導者が基本的にはいなかったので、チームメートだけで練習する形でした。練習メニューをもらって、周りの大人から見られながら練習するというのはこれまでになかったことで、今は環境の変化に慣れようとしているところではあります。

Q:高校、大学、ブリヂストン、ナショナルと段階を踏んできたわけですが、その中で自転車への向き合い方に変化はありましたか?

学生の時はとりあえずインカレや大会に向け、ただただ頑張ってやるというのがメインでした。学生が終わって、自転車競技が自分の人生に関わるようになってきて「ただ頑張るだけではいけないな」と考えるようになりました。お金も発生するし、「好き」だけじゃない、義務感も感じるようになりました。

Q:大学を卒業して、自転車一本でやっていくことに、不安などは感じましたか?

それは今もずっと考えていることです。ブリヂストンに声をかけてもらって所属できたことは良いものの、「本当にこれでよかったのか」というのは日々考えています。

パリオリンピックを目指している身ですが、それが終わった時は、まだ24歳です。「そこから先どうしよう?」というのもわからないし、本当にこの道が正解なのかもわからないです。でも今は、自分の選択を信じてやるしかないと思っています。

途中で辞めるのは信条に反する

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