2021年8月、2年生にしてインカレトラック短距離種目3冠を成し遂げた市田龍生都(いちだ・りゅうと)。中央大学に在学中の彼はジュニア時代にアジア選手権へ出場しており、2022年の始め、改めて本格的にナショナルチームの練習に参加し始めた。2022年7月にはジャパントラックカップにも参戦する。

彼が大会で好成績を収めると、よくこんなコメントで紹介される。「市田佳寿浩の息子」と。

元競輪選手で現在は競輪評論家として活躍する市田佳寿浩の息子である彼は、どのような道を経てナショナルチームの場に辿り着いたのか?そのバックボーンとこれからを紐解いてゆく。

中3から自転車競技をスタート

Q:ナショナルチームへの加入はいつからになるんでしょう?

チームの練習に参加し始めたのは、今年(2022年)2月の頭からです。高校2年の夏くらいからジュニアの強化指定に入れてもらって、日本代表として大会に参加していましたが、チームとしての活動はこれまであまりありませんでした。

Q:現在は大学3年生?自転車競技を始めたのはいつからなのでしょう?

はい、3年です。自転車競技は中学の部活を引退した、夏の終わりくらいからきちんとスタートしました。中学3年生の段階で高校の部活にちょくちょく顔を出して練習させてもらっていました。

Q:高校には推薦みたいな形で入学したのでしょうか?

はい。推薦で入りました。

Q:自転車の前はどんなスポーツを?

5歳から小6まで水泳をして、中学では陸上をしていました。この頃は趣味としてスポーツをしている感じで、自分から積極的にやってみたいと思ったのはスポーツは自転車競技が初めてです。

父、市田佳寿浩のこと

Q:お父様が元競輪選手(市田佳寿浩)ということで、小さい頃から競輪を知ってはいたかと思います。小さい頃の自転車や競輪に対するイメージって、どのようなものでしたか?

そうですね……競輪は「お金は稼げるけど危ないスポーツ」と思っていました。(父が)帰ってきたら血だらけだった……ということもあったので、危ないんだなあと思っていましたね。

Q:中3まで自転車をやらなかったのも、そのあたりが理由ですか?

いえ、まず興味を持っていなかったんです。

小学生くらいの頃って「かっこいい」と思うスポーツがサッカーとか野球とか、速く走れる陸上とか、そういうものだったんです。スポーツ選手としてもそっちの方がメジャーだし、かっこいいと思っていました。

自転車のプロにはそういうことを思わなくて、ただ「お父さんだからかっこいいんだ」みたいな……そんなイメージでした。

Q:やっぱりお父さんのことをさまざまな場面で言われると思うんです。「市田の息子だよ」と紹介されることも多いと思います。そういった中で逆に自転車が嫌いになるパターンもあるのかな、と思ったんですが、そのあたりはどうだったんでしょう?

全然そんなことはないです!お父さんと比べられるのは全然良いことで、それが普通だと思っています。

「市田の息子」ということを誇りに思っているし、父は引退しましたが、僕の尊敬する人・選手のひとりです。父のことを言われるのは嬉しいし、プレッシャーではありません。

1kmTTは「真っ白」

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