両種目をトップレベルで経験したから分かること
今はトラック競技を行っていますが、やっぱり自分の基礎はBMXレーシングでできています。そしてBMXレーシングはトラック競技に活かせる大事な要素があります。
それはペダリングスキルと乗車テクニック。
ペダリングスキル
BMXレーシングを行って身に付くペダリングスキルですが、子供の頃は SPDなどのクリップペダルの使用が禁止されているので、フラットペダル(ノーマルのペダルにノーマルの靴)を使います。ペダルを引き上げるために、ペダルの下死点から上死点まで抉り取るような仕草が勝手に身につくんです。
ペダルを踏みこむ力は誰でもあると思いますが、ここに蹴り上げる力も加わり、安定した高出力を出すことに繋がっていきます。
![長迫コラム](https://i0.wp.com/morecadence.jp/wp-content/uploads/2022/03/n-7.jpg?resize=1960%2C1306&ssl=1)
スタートの時にペダルを引き上げる動作が身についている
乗車テクニック
ジャンプなどのテクニック面ではバイクコントロールが難しくなります。立漕ぎを基本とする不安定なBMXバイクに乗り、さらに不安定な足元で自転車をしっかりコントロールしていくことが、乗車テクニックの向上につながってきます。BMXレーシングを行う上で、このスキルが無ければ走れないので、繰り返し練習していくうちに自然と乗車テクニックは上がっていきます。
これが BMXの力で、将来どの種目を行っても自転車を選ばないスキルを全体的に得られるんです。
ただ、いくらBMXが自転車競技全体に役に立つと言っても、大人になってからBMXを始めるのではなく、可能な限り子供の頃からBMXに乗って欲しいと思います。また競輪選手が乗り始めると脚力とテクニックのバランスが合わないので、転倒での怪我には気をつけてほしいです。
オランダの方針、戦術
![Final / Men's Team Sprint / TISSOT UCI TRACK CYCLING WORLD CUP III, Hong Kong, Jeffrey HOOGLAND ジェフリー・ホーフラント Harrie LAVREYSEN ハリー・ラブレイセン Roy van den BERG ロイ・バンデンバーグ](https://i0.wp.com/morecadence.jp/wp-content/uploads/2019/11/9680.jpg?resize=1960%2C1306&ssl=1)
左からジェフリー・ホーフラント、ロイ・バンデンバーグ、ハリー・ラブレイセン
現在BMXレーシングは自転車界ではとても注目されています。
BMXが注目されるようになった背景には、トラック競技のオランダのチームスプリント代表が全員BMX出身だったことがあります。
彼らは、4年前から世界選手権で負け無し、ワールドカップ(※現ネーションズカップ)でも毎回優勝するぐらい強~いチームです。でも彼らは決してBMXで最強だったわけではありません。
オランダの第3走を担うジェフリー・ホーフラントは僕と同級生で、16歳の世界選手権で同じカテゴリーで戦った記憶があります。当時、僕は決勝まで勝ち上がることができたけれど、彼は勝ち上がれませんでした。以降BMXのレースでジェフリーを見た記憶はないです。
第1走のロイ・バンデンバーグは、ワールドカップで何回か一緒に走ったことがあります。彼はスタートのパワーこそ凄いが、バイクコントロールに悩まされた選手だと思います。
ハリー・ラブレイセンは若いのでBMX時代のレベルは分からないですが、肩の怪我が多くて転向した選手です。
![1st Round / Men's Team Sprint / 2020 Track Cycling World Championships, ロイ・バンデンバーグ Roy van den Berg, ハリー・ラブレイセン Harrie Lavreysen, ジェフリー・ホーフラント Jeffrey Hoogland](https://i0.wp.com/morecadence.jp/wp-content/uploads/2020/02/2530-1.jpg?resize=1960%2C1306&ssl=1)
いずれもBMXの種目で名を馳せた選手ではありませんが、BMXの経験、スキルを活かしてトラックで最強になった選手たちです。自転車に乗る基礎があったからこそ、あのレベルまで到達できたのだと僕は考えています。
日本国内にもいる!BMX出身の凄い選手
![古性優作, KEIRINグランプリ2021 静岡競輪場](https://i0.wp.com/morecadence.jp/wp-content/uploads/2021/12/AL100468.jpg?resize=1960%2C1307&ssl=1)
日本国内でもBMXからトラックに転向した選手はいますが、一例を挙げるならば2021年のKEIRINグランプリ覇者の古性優作選手です。BMX選手だった時代には、バイクコントロールがとても上手く、彼と一緒に練習できる機会には、ずっとべったり練習させてもらっていました。他の選手とは桁は違いましたね。技術とは別に、ハングリーさと精神力もあり、尊敬していました。