ナショナルのやり方は、競輪選手にも有効?

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上がっていく過程が好き

Q:答えが分かっている質問ですが、アルカンシェルを獲ってみたかったとは思いますか?

もちろんあります。特にスプリントは明確に分かるじゃないですか。もちろん獲りたいけど、今の力では100%獲れないということも分かっているので、そこの難しさはありますね。

Q:でも獲っていたらもっと早くに辞めていたかも?

獲っていたらその時点で辞めていたと思いますね(笑)

Q:様々なことを考えているかと思いますが、深谷さんの明確な人生のゴールは?

満足して人生を終える、ですね。今までもそれでした。いつどうなっても良いように楽しみまくっていましたが、子どもが生まれて若干変わってきたかな……子どもが成人するまでは生きておかないと(笑)

Q:いろいろ聞いてきましたが、纏めると、引退は……性格ですね。

自分は上がっていく過程が好きなんです。その時、プレッシャーは感じません。ですからプレッシャーから逃げている、といった部分はもちろんあると思います。

最初はスプリントでも負けるのが当たり前で、その次に勝ち負けするようになって、頑張ったら勝てるようになって。走っている時に意識が変わっていきました。

今までは1つでも高い位置で終わりたいと思っていたのですが、ある時期からスプリントで予選4位以内に入らなかったらどうしようとか、ここで負けられないとか、意識の向く方向が逆になったんです。上を見ていたはずなのに、下に意識が向いて……。

それってプレッシャーなんです。そこを跳ね除けるのが上手ではありません。そこから逃げたいという思いもあると思います。0から8割までは結構いけて、そこからのプロは大変。車もそうです。

Q:狭く深くではなく、広く浅く?でも車は病気レベルかと……

そうです、性格的にですね。まあ車は病気です(笑)

深谷知広, 1kmTT, 2021全日本トラック

と、これまで深谷知広のナショナルチーム引退話しから派生して様々な話を伺った。
しかしながら深谷選手へは、8割まで行くのも常人には難しいということを記載しておきたい。ナショナルチームを離れても深谷知広は変わらない。これからも100%で人生を自分なりに謳歌していく。