異例のロングコースで、波乱は起こるのか
スタート後、ジャンプをこなしながらコーナーに向けた激しいポジション争いもBMXレーシングの見どころのひとつだ。
「自転車の格闘技」と呼ばれることもあり、ときに接触覚悟で最速ラインを争う。スタートで出遅れた選手たちは、逆転を狙いストレートでのジャンプセクションをこなしながら、コーナーでの巻き返しを狙っていくことになる。
今回の東京オリンピックのコースの大きな特徴は、およそ500mという長さ。これまで国際大会で使用されてきたBMXレースコースは350m~400mで設定されてきたため、今回はこれまでのスタンダードを覆すロングコースでの戦いとなる。
また北京オリンピックで正式種目に採用されて以降(ジャンプの高さや難易度を高くするために)スタートからフィニッシュにむけて下り基調の場所に作られたスピードコース設定だったが、今回はフラットな場所に設定されたコース。選手たち自身が生み出す推進力が、フィニッシュに到着するための唯一の手段となる。
果たして、これまでのコース設定から変更があったことでレースにはどのような変化をもたらすのか。
まずは、フィジカル面。選手たちには、最後までスピード落とさずに走り切る持久力が求められることになり、後半の体力勝負も大きな鍵となってくるだろう。
また、コースが長くなったことで様々な展開が生まれる可能性がある。スタートで遅れた選手が後半に巻き返し、逆転を狙うチャンスも生まれることになる。
実際に昨年行われたテストイベントではドラマティックな展開が起こっている。女子決勝のスタートで出遅れ5番手で1コーナーに侵入したオーストラリア代表選手の榊原爽(さかきばらさや)がその後徐々に追い上げ、フィニッシュ直前で逆転優勝を果たしている。
スタートを制したものが絶対有利であることには変わらないが、今回のコース設定の変更によりフィニッシュまで一瞬たりとも目が離せない展開が数多く見れることになるだろう。