中日スポーツ・東京中日スポーツの八手亦記者による、寄稿記事をMore CADENCEに特別掲載。オリンピック トラック競技期間中、いつもと異なる視点から見る「自転車トラック競技」をお届けする。

カーリー・マカラク Kaarle Mcculloch (AUS), ローリン・ジェネスト Lauriane Genest (CAN), ケルシー・ミシェル Kelsey Mitchell (CAN), エマ・ヒンツェ Emma Hinze (GER), シェーン・ブラスペニンクス Shane Braspennincx (NED), ダリア・シュメレワ Daria Shmeleva (ROC), Women's Keirin Semi-Final AUGUST 5, 2021 - Cycling : during the Tokyo 2020 Olympic Games at the Izu Velodrome in Shizuoka, Japan. (Photo by Shutaro Mochizuki/AFLO)

女子ケイリン小林優香は準々決勝敗退

小林優香 Yuka Kobayashi (JPN), Women's Keirin Quarter-Final AUGUST 5, 2021 - Cycling : during the Tokyo 2020 Olympic Games at the Izu Velodrome in Shizuoka, Japan. (Photo by Shutaro Mochizuki/AFLO)

厳しい結果が続いた5日の3種目だった。女子ケイリンの小林優香(27)=日本競輪選手会=は力を出し切ることなく準々決勝6位で敗退。準決勝進出条件が4位までだったが、積極的に攻める姿勢を見せることができなかった。

「勝ち上がれなかったことが結果で全て。全然駄目。素直に残念です」と沈痛な表情。レースについては「(自分の前にいた)ウクライナの選手を使おうとしてしまったし、自分が一歩前に出て(先頭の)中国選手の前に入っておけばよかった。4着なら準決勝に行けると、先のことを考えすぎてしまった」と反省した。

小林優香 Yuka Kobayashi (JPN), Women's Keirin Quarter-Final AUGUST 5, 2021 - Cycling : during the Tokyo 2020 Olympic Games at the Izu Velodrome in Shizuoka, Japan. (Photo by Shutaro Mochizuki/AFLO)

ブノワ短距離ヘッドコーチも「調子は一番良かっただけに残念で悔しい」と険しい表情のままだった。

それでも戦いは続く。スプリントは6日から始まるだけに「気持ちを切り替えて頑張ります」と小林は自ら言い聞かせるように話した。

無念のオムニアム

橋本英也 Eiya Hashimoto (JPN), Men's Omnium AUGUST 5, 2021 - Cycling : during the Tokyo 2020 Olympic Games at the Izu Velodrome in Shizuoka, Japan. (Photo by Shutaro Mochizuki/AFLO)

小林同様にショックが大きかったのが男子オムニアム橋本英也(27)=同。テンポレースで1ポイントしか拾えず、最終のポイントレースは屈辱の0ポイント。合計54ポイントで15位に終わった。

ひと言で言えば完全な力負け。メダル争いまで期待された日本の中長距離エースだが、結果は昨年の世界選手権の11位を下回った。いつも笑顔を絶やさない明るい性格ながら「コロナ禍の中で準備してもらったオリンピックなのに結果を出せず悔しい」と、さすがに元気がなかった。

橋本英也 Eiya Hashimoto (JPN), Men's Omnium Tempo Race 2/4 AUGUST 5, 2021 - Cycling : during the Tokyo 2020 Olympic Games at the Izu Velodrome in Shizuoka, Japan. (Photo by Shutaro Mochizuki/AFLO)

一番の敗因は2種目目のテンポレース。本人が想定したより速い展開が残りの2種目に影響した。

「ここでかなりの体力を消耗した。それが次のエリミネーションにも尾を引いてしまって…」。

Men's Omnium Elimination Race 3/4 AUGUST 5, 2021 - Cycling : during the Tokyo 2020 Olympic Games at the Izu Velodrome in Shizuoka, Japan. (Photo by Shutaro Mochizuki/AFLO)

新型コロナの影響がありながらも、いち早くロードの大会を開催し、そこで実戦経験を積んできた海外勢が有利だったのも原因だろう。今後については「大きく環境を変える予定はない。オリンピックが終わって、休んでから考えます」と話した。

敗戦ながらも、手応えを掴んだ脇本

ニコラス・ポール Paul Nicholas (TTO), 脇本雄太 Yuta Wakimoto (JPN), Men's Sprint 1/8 Final AUGUST 5, 2021 - Cycling : during the Tokyo 2020 Olympic Games at the Izu Velodrome in Shizuoka, Japan. (Photo by Shutaro Mochizuki/AFLO)

同じ敗戦でも前向きに捉えることができるのは男子スプリントの脇本雄太(32)=同。3回戦敗者復活戦3位で準々決勝には進めなかったが、スプリントは得意種目ではないだけに、その表情に暗さはなかった。むしろ4日の予選で日本新のタイムをたたき出し、1回戦と2回戦敗者復活戦を突破できただけに手応えをつかんだ。

脇本雄太 Yuta Wakimoto (JPN), Men's Sprint 1/8 Final Repechage AUGUST 5, 2021 - Cycling : during the Tokyo 2020 Olympic Games at the Izu Velodrome in Shizuoka, Japan. (Photo by Shutaro Mochizuki/AFLO)

「気持ち一本で闘ったけど世界の壁は高かった。でも僕の中ではスプリントでも好成績を残せたと思っている。僕の戦いは終わってない。ケイリンに5年間を懸けてきたので、その練習の成果を出す時が来た」と7日からの大目標ケイリンを見据えた。

ロゴ

Text:八手亦和人