中日スポーツ・東京中日スポーツの八手亦記者による、寄稿記事をMore CADENCEに特別掲載。オリンピック トラック競技期間中、いつもと異なる視点から見る「自転車トラック競技」をお届けする。

日本の最大のライバル、オランダチーム

ハリー・ラブレイセン(オランダ)

この日もチーム種目のみで日本の出番はない。せっかくの有観客なのに、肩透かし気味なのは仕方がない。しかし、注目すべき男たちはいる。男子チームスプリントのオランダだ。2020年世界選手権(ベルリン)で短距離3冠に輝いた怪物ハリー・ラブレイセンを中心とした最強国。この後の個人種目において、脇本雄太、新田祐大の最大の敵になる。

結果から言えば、オランダは万全の状態でオリンピック本番を迎えた。まずは予選。ロイ・バンデンバーグ、ハリー・ラブレイセン、マティエス・ブフリの構成でたたき出したタイムはオリンピック記録を更新する42秒134。リオデジャネイロオリンピックでのイギリスの記録をあっさり上回った。

マシュー・グレーツァー(オーストラリア)

続く1回戦。豪州オーストラリア、イギリスも予選のオランダのオリンピック記録を次々に更新する異常な状態に。掲示板には常に「OR」(オリンピック・レコード)の文字が躍った。ハイレベルな高速バトルの原因が、機材の進化か、バンクなのか、その答えを出すにはもう少し時間が必要だろう。個人種目でもスピードが求められるのは間違いない。

そして、1回戦最後に登場したオランダは、さらにその2カ国の上を行く41秒431のタイムでオリンピック記録を再更新。第3走のブフリをジェフリー・ホーフラントに入れ替えての盤石の戦いぶりで、銀以上を確定させた。

決勝はリオオリンピック金のイギリスVS直前の世界選手権覇者のオランダ。疲れを感じさせたイギリスは追走が乱れて早々と決着。

オランダは結局、3戦全てでオリンピック記録を更新する41秒369の好タイムで金メダルを獲得した。第1走のバンデンバーグがチームを代表して言った。「スムーズでトラックコンディションはとても良かった。本当にいいチームメートに恵まれた。コロナのこともあるから、今晩は部屋で少しだけ楽しむよ」と笑顔を見せた。

女子チームパシュートはドイツが金

この日、もうひとつのメダルマッチだった女子チームパシュート(4000メートル団体追い抜き)は3大会連続金を狙ったイギリスをドイツが破っての金メダル。4分04秒242の世界新記録のおまけ付きだった。

4日からはいよいよ脇本雄太、新田祐大の男子スプリントと小林優香の女子ケイリンが始まる。

Text:八手亦和人

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