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女子チームスプリントは中国が連覇
自転車競技のトラック種目が8月2日に伊豆ベロドロームで始まった。初日は男女ともにチーム種目のみ。残念ながら日本の出場はなく、注目されたのは、この日唯一のメダルマッチとなった女子チームスプリントだった。
予選、第1ラウンド、決勝(各順位決定戦)の3戦。実績通り決勝に勝ち上がったのは、2020年の世界選手権(ベルリン)で短距離3冠を達成した女王エマ・ヒンツェが中心となるドイツと、前回のリオデジャネイロオリンピックで金メダルを獲得した中国だった。
勝ったのは31秒895の中国。2大会連続の同種目金となった。予選こそ今回がオリンピック初出場だった鮑珊菊(バオ・シャンジュー)が「ナーバスになりすぎた」と本来の力を発揮できずに終わったが、第1ラウンドでは何と世界新記録の31秒804を計時。中国自身が持つ記録を塗り替えてみせた。
そこにあったのは、現在は日本の短距離チームを指導するブノワコーチの下でリオオリンピック金に輝いた鍾天使(ゾン・ティエンシー)の後輩へのアドバイス。「予選はミスをしたが予選にすぎない。プレッシャーがかからないようにした」と先輩の激励が緊張する後輩をよみがえらせた。
反対に無念の表情を浮かべたのが0秒085だけ後れを取ったドイツのヒンツェ。個人のスプリント、ケイリンでは小林優香のライバルとなる女王は、世界記録を更新して決勝に進出した中国の勢いにのみ込まれる形となった。
「やはり金が欲しかったから、この結果には少し失望した。でも世界新も出した中国が強かった。私たちもベストを尽くしたし、オリンピックで銀メダルを取れたのだから、今はすごいことをやったのだと考えている」と、レース後は少しずつ気持ちを切り替えた。
銅メダルはロシア・オリンピック委員会(ROC)。この3カ国による上位決着は比較的順当な結果だったとはいえ、3種目金を狙いにきていた短距離女王にとっては、少しほろ苦いスタートとなった。
Text:八手亦和人
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