2021年3月26日、新たな自転車トラック競技チーム「チーム楽天Kドリームス」が発足した。この「チーム楽天Kドリームス」は『UCIトラックチーム』として登録される。「dream Seeker」「チームブリヂストンサイクリング」に続く、日本国籍のUCIトラックチームの誕生だ。
日本だけでなく、オランダのBEAT Cycling Clubなど、世界各国にあるUCIトラックチーム。そもそもUCIトラックチーム(以下トラックチーム)とはなんなのか?過去にも何度かご紹介したが、名称も変わった(旧:トレードチーム 新:トラックチーム)ことなので、本記事でもう一度おさらいしていこう。
UCIトラックチームって?
「UCIトラックチーム」とは、かつては「UCIトレードチーム」とも呼ばれていた、各国連盟の代表チームとは異なる体制のチームだ。
各国の自転車競技連盟がバックアップするナショナルチームに対し、トラックチームの場合、主に個人や企業・その他の団体がスポンサーとなり資金を供与している点に大きな違いがある。
「UCIトラック国際大会への参加を目的とした、最低3〜最大10人の選手とスタッフ(雇用者)から成り、各国自転車競技連盟およびUCIに登録しているチーム」であることなどが規定されている。
参考:UCI Regulation Track Races Chapter VII
UCIトラックチームのメリット
なぜトラックチームを作るのか?その最大のメリットは「より多くの選手が大会に出場し、UCIポイントを獲得することができる」ということ。
UCIポイントとは、より上位の大会に出場するために必要となるポイント。2019-2020シーズンの松井宏佑選手は、UCIポイントが1、2ポイントほど足らなくてトラックワールドカップのスプリント種目に出られなかった・・・というエピソードもある。
UCIポイントを獲得できる大会は以下の7種類。
・オリンピック
・世界選手権
・ネーションズカップ
・大陸選手権
・Class1大会
・Class2大会
・国内選手権
しかし1カ国につき1つのナショナルチームには、登録人数に制限がある。この人数制限により、世界的な実力がある選手でも選考漏れしてしまう場合や、国によっては、特定の種目に力を入れ、その他の種目は棄権する戦略をとることもある。
それらの理由でナショナルチームへの所属が叶わなかった選手にとって、大会に出場するための唯一の方法がトラックチームに所属することだ。
トラックチームであれば*1カ国で複数のチームが登録可能なため、大会に出場する選手数が増える。よってより多くの選手に世界の舞台での活躍の機会が与えられる。
*原則1シーズン1カ国につき3チームまで新たに登録可能(2021年10月18日より施行)