トラック競技が現在の形、種目数で開催されるまでには、幾度もの除外や追加等のルール変更が施されてきた。本シリーズでは、UCI世界選手権やオリンピックにおける種目・ルールの変遷をその始まりから辿り、トラック競技の発展という視点からその魅力を探っていく。
前回の「オリンピック初頭(1900年代)のトラック種目」に続きシリーズ第3回目となる本記事では、「ケイリン」と「マディソン」が2000年に新たに追加された経緯とその種目の歴史について紹介する。
ケイリンの登場、新しいトラック競技
2000年シドニー大会では、以前までの正式5種目(スプリント、1kmTT、チームパシュート、タンデム、個人パシュート)に加え、ケイリン、マディソン、オリンピックスプリント(2004年以降はチームスプリントの名称に変更)の3種目が追加。トラック競技のオリンピック種目は計8種となった。
日本の「競輪」発祥の正式種目、ケイリン
1948年、日本で始まった「競輪」。
中野浩一によるUCIトラック世界選手権スプリントにおける活躍をきっかけに、世界が徐々に日本独自の「競輪」に注目し始め、「ケイリン」としてUCIトラック世界選手権の正式種目となったのが1980年。その後2000年、シドニー大会からオリンピック正式種目に追加された。競輪の発祥から約50年後のことである。
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