梶原の実力は本物だ
梶原悠未の金メダルにより、またも「史上初」が成ったトラックワールドカップ第3戦。カナダのミルトンで行われたこの大会では多くの「サプライズ」が見られた。第3戦を振り返り、まとめてみよう。
最も重要なトピックスは、女子オムニアムで梶原の金メダル獲得という快挙達成。正式種目化して以来、女子のオムニアムで初めて日本人が手にしたメダルだ。しかも初のメダルは金色に輝いているのだ。
イアン・メルビン中長距離ヘッドコーチは、第2戦のマンチェスター大会と比べると、女子オムニアムに出場した選手の層はやや劣るものの、オムニアムの4種目全てで1位となった梶原の実力は本物だという。このあと迎える第4戦へ梶原を出場させるかどうかは未定とのことだが、第4戦にも出場すれば間違いなく活躍するだろう。
メルビンコーチの梶原に対する3戦でのコメント
梶原の結果は今大会のチームにとって最高の結果でしたね。
梶原の選手としての意識はとても高く、パフォーマンスは素晴らしく、結果もついてきました。我々にとって良いボーナスとなりましたね。
ただ結果にはとても驚きました。身体能力の部分で驚いたのではなく、彼女のレース運びに驚いたのです。マンチェスターでは周りの選手たちのレベルがとても高く、梶原は難しいレースを強いられました。ここ(ミルトン)では数人のトップレベルの選手がいなかったものの、前に出て、レースをコントロールし、とても良い意味で私を驚かせてくれました。
彼女は身体的にトップレベルで戦える状態にはなっています。何が自分でできて何ができないかを判っていますね。そして自転車に乗っている時でも乗っていない時でもいろいろと考えることができる選手でもあります。とてもスマートですよ。
4戦で2戦と同じタイムが出せるか?
そして第2戦で「史上初」を先に達成した女子団体追い抜き。こちらはまだまだ良い意味で捉えて荒削りなのだろう。第2戦で記録したタイムと今回のタイムは大きく離れている。レースの内容を比べても、大きく異なる。まだ若いチームなのでパフォーマンスが安定していないことが明確に伺える。
今後は自分たちの練習通りに走り、試合で継続して能力を発揮できるのかが鍵となるだろう。それができた後に、次のステップへ進むというのがチーム全員の共通認識だと試合前の選手たちのコメントから察することができる。
ただし、今回は日本チームだけでなく、男子の韓国チーム、デンマークチーム、カナダチームとレース途中に隊列を乱し、大きくタイムを落とすことが見られた。男子でも女子でも関係なく安定したパフォーマンスを出すことは困難なことだと改めて考えさせられる結果だ。
これから日本チームはタイムが上がっていくことで、より一層のコミュニケーション、チームワークの向上が課題となる。まずは第4戦で第2戦と同タイムを出せるかどうかに期待したい。
女子団体追い抜きの結果へ対するメルビンコーチのコメント
女子の団体追い抜きはタフな結果となりました。第2戦のマンチェスターではレベルがとても高かったが、第3戦のここミルトンではパフォーマンスが低くなってしまいました。
ただ、チームの選手たちは一度予選で崩れたのに、(メダル決定戦では)持ち直すことができました。
梶原をオムニアムに集中させるため、チームから切り離したにも関わらず、残りの4人が上手くまとまり、クリーンな走りを見せてくれましたね。いずれにせよここから学べば良いと思います。