男子チームスプリントしか考えていない

Q:今回日本に来た目的は?

オリンピックの下見ですね。オリンピックの時にどうなるのか、どのような場所なのか、どこが選手村になるかなどを確認しに来ました。後は日本を楽しみに来ました。来てみて思いましたが、思っていたよりも日本は良い場所ですね。そもそも良い場所だとは思っていましたが、予想を上回っていますね。

Q:オリンピックは夏。日本の気候はとても暑いですが大丈夫ですか?

そうですね。私たちの国とは全然違います。外と中の温度の違いなど考えなければならないと思いますが、気候自体はそんなに問題にはならないとは思っています。

Q:オランダチームはチームスプリントが最優先の種目ですよね?

その通りです。完全にチームスプリント狙いです。2016年から世界選手権でメダルを逃していませんし、オリンピックで狙うのは金メダルのみです。

Q:確かにオランダチームは本当に強いですが、その強さはどうやって手に入れたのでしょうか?

すべては6~7年前にレネ・ウォルフ(現ニュージーランドの短距離コーチ)がコーチだった時に始まりました。彼がチームスプリントに集中するプログラムを作り上げ、BMXの選手たちを拾い上げてきました。大事なことは、トラックの選手もBMX出身の選手も、大人数で一緒に毎日練習していることです。お互いの競争が必然的に発生するので、毎日が戦いとなっています。ただ同時に、フレンドリーな環境も整えるようにはしています。

Q:大所帯ということですが、人数はどれ位いるのでしょうか?

テオ・ボスマティエス・ブフリなどBEATの選手も含めて現在は男子が8人、女子が6人ですね。テオが一番年上で、次にロリーヌ・ファンリーセン、そしてマティエス・ブフリですね。その下にジェフリー・ホーフラントハリー・ラブレイセンなどが居ます。

マティエス・ブフリ / テオ・ボス

Q:ウォルフさんが作り上げたプログラムということですが、まだ踏襲しているのでしょうか?それとも独自の物に変わっている?

自分独自の方法とウォルフの方法との混合ですね。ウォルフがコーチだった頃私は選手だったので、ウォルフのトレーニングがどんな物かは分かっています。だからウォルフの方法に自分の考えをミックスしています。

Q:コーチになるために選手を引退してから勉強したのでしょうか?それとも独学?

引退してから連盟が用意するプログラムを半年受けました。でも半年のプログラムだけではなく、私は引退する前にウォルフの後任だったビル・ハックコーチと1年間働く機会がありました。ですから選手の時からコーチ業に興味があったんです。どうしたら効率が良くなるのか、どうしたら強くなれるのか、そんな事を考えるのが好きなんです。ですからコーチになるための勉強はしましたが、いろいろな過去の経験が今の私をコーチとして作り上げていると思います。

Q:選手でありながらコーチ業に興味を持っている人は少ないと思うのですが、何故あなたはそうだったのでしょうか?

私はチームスプリントの第3走の選手でした。個人種目では世界では自分は戦えないと分かっていたからです。

Hugo Haak, Mens 1km Time Trial, 2015 (Photo by Dean Mouhtaropoulos/Getty Images)

チームスプリントは3人で走ります。前の2人が速いタイムで走ってくれればチームとしても個人としても高いパフォーマンスが発揮出来ます。ですから昔から前の2人がきちんとトレーニングをしているのかどうかを気にしていましたし、前の2人にプレッシャーを与えていましたね(笑)。そのお陰で現役の時には世界で2番目になれることが出来ました。同じ目標に向かって全員で走るんです。それがチームスプリントの良いところですね。

理論さえしっかりしていれば年齢は関係ない