2018年、2019年の国際競輪でも活躍した、オーストラリアの短距離界の象徴的存在であるマシュー・グレーツァーが現役引退を発表した。
オリンピックや世界選手権の舞台で活躍し、病からの復活など、15年間に及ぶ輝かしいキャリアに終止符を打つことになった。
主要な国際大会で18個のメダルを獲得
グレーツァーはベロドロームでの競技を始めてわずか数ヶ月で2009年『UCIジュニアトラック選手権』でオーストラリア代表としてデビュー。翌年には同大会でスプリント、ケイリンの2種目で優勝するなど、若くして才能を発揮した。
オーストラリアの短距離トラック競技の中心選手として長く活躍し、引退時点での主要国際大会のメダル数は、オリンピック銅2個、コモンウェルスゲームズ金5個・銅2個、UCIトラック世界選手権で金3個・銀4個・銅2個の計18個。
2019年には甲状腺ガンを患っていることを公表するも、術後わずか1ヶ月でレースに復帰すると、ケンブリッジで行われた『トラックワールドカップ第4戦』、ブリスベンの『トラックワールドカップ第5戦』で続けて表彰台に立つなど驚異的なカムバックを果たしている。
オリンピックの舞台を4度経験しており、『2012ロンドンオリンピック』チームスプリント4位、『2016リオオリンピック』スプリントとチームスプリントで4位、『2020東京オリンピック』でもチームスプリント4位とあと1歩メダルに届かなかったが、『2024パリオリンピック』チームスプリント、ケイリンで念願の銅メダルを獲得。
その銅メダルを「自分にとっては金メダルのようなもの」とコメントし、パリ五輪を最後に競技の舞台からは退いていた。
国際競輪の舞台で連勝記録やバンクレコードを刻む
2018年、2019年の2年間にわたり、短期登録選手制度によって日本の国際競輪に参戦したことでグレーツァーを知る人も多いかもしれない。
2年間で全60走のうち1着は51回、12回の優勝を果たしている。2018年には8月〜9月にかけて5場所連続完全優勝を達成してシーズンを締めくくると、翌年にも来日し2019年の4月まで勝ち続け、17連勝までその数字を伸ばした。これは短期登録選手の連勝記録として未だに1位の記録である。
また、2019年5月22日に久留米競輪場で上がりタイム10.4を記録し、現在もバンクレコードホルダーである。
引退後は消防士として地域社会に貢献へ
オーストラリアサイクリングチームと本人のSNS投稿によると、引退後は以前から目指していた消防士になり、南オーストラリア州都市圏消防局で新たなキャリアをスタートさせるそうだ。
以下、グレーツァーのコメント。
子どもの頃に夢を追いかけていた自分が、オーストラリア代表として4度のオリンピックに出場するまでになったこと。この競技は、想像していた以上のものを僕に与えてくれました。
信じられないほど素晴らしい瞬間も、厳しい挫折も、すべてを試されるような場面もありました。でも、だからこそ、この旅はこれほどまでに意味のあるものになったのだと思います。世界選手権のタイトル、コモンウェルスゲームズの金メダル、そしてパリで1度だけでなく2度、オリンピックの表彰台に立てたこと…決して忘れることのない道のりでした。
自分が成し遂げてきたすべてを誇りに思っています。けれど、それ以上に、その歩みを支えてくれた人たちへの感謝の気持ちでいっぱいです。
国際競輪の舞台でも活躍し、日本でも多くの方が知る選手の引退には寂しさを覚えるが、彼のセカンドキャリアが希望に溢れるものになること祈るばかりだ。
なお、2019年を最後に開催されていなかった短期登録選手制度による国際競輪が2026年に『競輪ワールドシリーズ2026』と銘打ち開催される。世界トップレベルのスプリンターが集うこの機会に選手を一目見ておけば、グレーツァーのように引退に際しての思い出も変わってくるかもしれない。
参照:Matthew Glaetzer calls time on illustrious track cycling career
