2026年4月17日より、香港で開幕した『2026ワールドカップ第2戦』。
大会最終日の19日に実施された男子スプリントには、太田海也と中野慎詞が出場。世界王者とのレース、世界最速との決勝、凝縮された1日のレースをレポートしていく。
男子スプリント
【予選 / 1回戦】
世界選手権やオリンピックでは予選〜決勝が2〜3日間にかけて実施されるスプリント。しかしワールドカップは予選、1回戦、2回戦、準々決勝(ここから2本先取制)、準決勝、決勝と1日で最大10本以上も走る過酷な種目となっている。
そんな最終日の男子スプリントには、世界各国から52人がエントリー。日本からは太田海也と中野慎詞、前日のケイリンでメダルを獲った2人が参戦した。
世界からは世界最速の男マシュー・リチャードソン(イギリス)、そして世界最強の短距離スプリンター、ハリー・ラブレイセン(オランダ)など強豪が出揃った。
予選の200mフライングタイムトライアルの結果は、1位がリチャードソンで9秒391。
2位にはニコラス・ポール(トリニダード・トバゴ)が9秒459を記録。
3位はラブレイセン(9秒466)。
太田は9秒658で6位。
中野は16位で9秒814という結果となり、太田と中野を含む28人が1回戦へ進出を決めた。
予選上位TOP3
| 予選順位 | 選手名 | 所属 | 予選タイム | |
| 1位 | マシュー・リチャードソン | RICHARDSON Matthew | イギリス | 9秒391 |
| 2位 | ニコラス・ポール | PAUL Nicholas | トリニダード・トバゴ | 9秒459 |
| 3位 | ハリー・ラブレイセン | LAVREYSEN Harrie | オランダ | 9秒466 |
続く1回戦、太田の相手はニキータ・カラチニク(個人中立選手)。中野はステファノ・ミヌータ(イタリア)との戦い。
この1回戦は両者問題なく制し、2回戦へ駒を進める。
【2回戦】
2回戦までは1本勝負で実施されるワールドカップ。
第1組目に出走した中野の対戦相手は予選トップのリチャードソン(イギリス)。
レースは中野が前でスタートしていく。
序盤から相手に注意しつつ中野がスピードを上げていくが、中野の後方にピッタリと付き、離さないリチャードソン。
最終周回を前に中野の目を盗む形でリチャードソンが傾斜を使って加速していくと、一気に中野をかわして先着。
中野は2着となり、この2回戦を勝ち上がることはできなかった。
太田は予選11位のドミニク・トピンカ(チェコ)との対戦。トピンカの後方から最後に追い抜き先着。準々決勝進出を果たした。
【準々決勝 / 準決勝】
準々決勝からは2本先取制。
太田の相手は世界最強のスプリンターであり、現世界王者のハリー・ラブレイセン(オランダ:予選3位)。
『2023ネーションズカップ第1戦』
過去にラブレイセンとネーションズカップ(ワールドカップの旧称)の決勝や世界選手権でも戦ったことがある太田。
過去の対戦では、すべてラブレイセンに軍配が上がっており、今回こそはと期待が掛かるカードとなった。
初出場の太田海也が王者に挑み銀メダル獲得 男子スプリント/2023 UCIトラックネーションズカップ第1戦(ジャカルタ)
1本目。虹色のレインボージャージを着用したラブレイセンが前、太田が後方でレースが始まる。お互いが注意を払いつつゆっくりと、およそ1分をかけて最初の1周を通過していく。
そして、先に仕掛けていったのは太田だった。残り2周を切ってすぐに加速していきラブレイセンの前に出ると、さらに加速していく。逃げの体勢を整える太田に対し、自転車1台分ほどの差で追うラブレイセン。最終周回に入り、フル加速しながら逃げる太田の横に、外からラブレイセンが並びかけてくる。
最終ストレートで横並びとなった両者だったが、最後は車輪1つほどの差でラブレイセンが先着した。
2本目。後が無い太田は前でのスタートとなる。
1本目とは異なり、1周回目から前で太田が少しずつスピードを上げながらラブレイセンの動きに注意して進んでいく。
勝負が決まったのは最終周回に入る前。ラブレイセンがバンクの上部へ駆けあがった瞬間に、前の太田が一気にフル加速して距離を広げていく。
その動きを見てラブレイセンも傾斜を利用してスピードを上げていくが、お互いフルスピードの状態で前の太田とは、自転車3~4台分の差が開く。
逃げる太田。追うラブレイセン。最終コーナーを回っても太田のスピードは緩むことはなく、ラブレイセンから逃げ切り先着。勝負は3本目までもつれることとなった。
勝負の3本目。2本目のわずか10分後に実施され、お互いの回復力が問われるレースにもなった。
ラブレイセンが前、太田は後方でレースが始まる。レースが動いたのは残り1周半。後方から仕掛けていく太田が、外から攻めると見せかけて内側へと急激に進路を切り替えていく。
この動きでラブレイセンの裏を取った太田が内側から前に出ると、外を走るラブレイセンを押し上げるような動きを見せて、相手の動きを制限していく。
そして今度は一気に加速し、ラブレイセンを突き放しにかかる太田。
反応が遅れたラブレイセンは、逃げる太田を一旦は追う姿勢を見せたが、最終周回に入って追うのを諦めると、太田が大差の先着。
太田が自身初となる”ラブレイセン超え”を果たして準決勝へと勝ち上がりを決めた。
なお、レース後には太田としては珍しく倒れこむ姿もあり、世界王者との戦いがいかに苦しい戦いだったかを物語っていた。
準決勝はニコラス・ポールとのレース。このレースを太田はストレートで勝ち、ついに予選1位のマシュー・リチャードソンとの決勝戦へと駒を進めた。
