3月に開催された『令和7年度 全国高等学校選抜自転車競技大会』。将来を担う高校生たちが全国から集い各種目で熱戦が繰り広げられた本大会には、日本代表の強化を担うナショナルチームのジュニアカテゴリのコーチ陣も視察に訪れていた。

本記事では、小橋勇利コーチ(写真左)と上野みなみコーチ(写真右)にインタビューを実施。レース全体の印象から、ジュニア世代特有の課題、そして将来性の見極め方まで——現場で見えた“今”と、その先にある可能性について話を聞いた。

Q:まず、今回のレース全体の印象について教えてください。

上野みなみ(以下、上野):おそらく1年生は、ほとんど経験がない状態で出場していると思います。また、2年生も先輩から引き継いだばかりで、レース経験を積み始めた段階です。

そのため、良くも悪くも荒削りな部分が目立つ印象はあります。ただ、その中でも印象的だったのが、大会2日目に行なわれたポイントレースです。選手たちが非常に積極的に動いていました。「こうすればもっと良くなるのに」と感じる場面もありましたが、それ以上に前向きな姿勢が見られました。

【男子ポイントレース】

【女子ポイントレース】

高校生のレースは消極的になりがちですが、今回は積極的に動くシーンが多く、とても良いレースだったと思います。

Q:なるほど。勝ちを狙って後ろで待つのではなく、レースを動かそうとする意識が見られたということでしょうか?

上野:実際の意図は選手に聞いてみないと分かりませんし、ガムシャラに動いている部分もあったのかもしれません。

小橋勇利(以下、小橋):私は中長距離を中心に見ていますが、今回のポイントレースは、最近見てきた中でも最も良いレースの一つだったと思います。上野コーチがおっしゃったように、全体的に積極性が感じられました。

戦術的な意図までは分かりませんが、外から見ていると、マークされる選手がある程度固定されていたので、その状況を逆手に取って動く選手も見られました。マークされている選手の隙を突いて仕掛けるなど、チャレンジングな動きが多く、とても良かったと思います。

また、ポイントレースでは、完走した選手の中で一人を除き、ほとんどの選手がポイントを獲得していたはずです。

上野:ポイントがかなり分散していましたね。つまり、誰が勝つか分からない展開だったということですし、それだけレースがしっかり動いていた証拠だと思います。

単にスプリント周回で競うだけではなく、レースの中にドラマが生まれていた。そうした中で積極的に動けていた選手については、ロードレースでどのような走りを見せるのか、非常に楽しみにしています。

評価についても、単にポイント数や順位だけを見るのではなく、どれだけ積極的に動けていたか、走りの技術がどうか、といった点を重視しています。リザルト以上に、「この先どれだけ伸びるか」という観点で選手を見ています。

Q:とはいえ、1・2年生中心だと将来性を見極めるのは難しそうですね。

上野:ジュニアカテゴリーは2年、非常に短い期間しかありません。その中で選考合宿などを通じてある程度の選手は見ていますが、今後は来年に向けて1年生の成長をしっかり確認していくことになります。また、数ヶ月で大きく伸びる選手もいます。2年生の中にも、以前は目立たなかったものの、急成長している選手がいないかという視点でも見ています。

Q:継続的に観察していくことが重要ということですね。

上野:そうですね。加えて、短距離種目を見ると、まだ戦術的な意識が十分ではなく、単純に力比べになっている印象があります。本来であれば、練習の段階から相手を想定した動きや戦術を取り入れるべきです。ただ全力でもがくだけでなく、そうした戦術面の成果も今後は見ていきたいと思っています。

小橋:例えば、車間をコントロールして速度差を作り、スリップストリームを活用しながら抜いていくといった技術ですね。これはロードでも必要となる重要なスキルです。こうした基本的かつ重要な要素を、ナショナルチームの合宿などを通じてしっかり伝えていければと考えています。

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