チリ・サンティアゴを舞台に、10月22日より開幕した『2025世界選手権トラック』。
4日目に行われた男子スプリントの模様をお伝えする。

日本から出場した太田海也、中野慎詞、中石湊のほか、200mタイムトライアルで8秒台の領域に踏み入れた世界記録ホルダーのマシュー・リチャードソン(イギリス)ら総勢34人がエントリー。
この日は予選の助走ありの200mタイムトライアルと、1回戦〜準々決勝までを実施。準々決勝からは2本先取となり、翌5日目に準決勝と決勝が行われる。

予選 中野慎詞がまさかのタイム

28位までが1回戦へと進出する200mフライングタイムトライアル(助走をつけてのタイムトライアル)。日本勢は太田が9秒560で8位、中石が9秒786で21位、そして中野は9秒946で31位と、中野だけが予選を勝ち抜くことができず。予選1位は9秒210のタイムでリチャードソンとなった。

予選トップ3+日本選手の結果
順位 選手名 タイム
1位 マシュー・リチャードソン 9.210
2位 ハリー・ラブレイセン 9.306
3位 ミハイル・ヤコブレフ 9.368
8位 太田海也(日本) 9.560
21位 中石湊(日本) 9.786
31位 中野慎詞(日本) 9.946

予選結果PDF

1回戦

太田は予選25位のローウィ・ヌレンス(ベルギー)との対戦。

最終周回で後ろから相手の内側を突いて一気に前に出ると、勝負あり。太田が先着して2回戦進出を決めた。

中石は予選12位のヘンリク・ハックマン(ドイツ)との対戦。

前にハックマン、後ろに中石でレースは進む。1周を回って中石が動き出すとレースは一気に活性化され、スピードが上がっていく。

内側を突こうとする中石の進路をハックマンが防ぐと、仕切りなおす中石。その仕切り直しのタイミングでハックマンが踏み出していくと、一気に中石を突き放してスプリント体制に入っていく。

前で逃げていくハックマンを追う中石だったが、最後まで追いつくことができずに2着。1回戦を勝ち上がれず、中石の初エリートカテゴリーの世界選手権挑戦は幕を閉じた。

1回戦結果PDF

2回戦結果PDF

準々決勝

2回戦では相手の大逃げを捕らえて先着、準々決勝に勝ち上がった太田。相手は予選トップのマシュー・リチャードソン(イギリス)となった。

1本目。太田が前で後ろを警戒しながら進むレース。レースが一気に動いたのは残り1周半。リチャードソンが前に出ようと内側の青い部分(ブルーバンド)に入り、太田を押し上げるような形で先頭へ。

虚をつかれた太田を一気に突き放して先行していくリチャードソン。

太田がこの動きに追いつくことは無く、1本目を先取されてしまう。

この”ブルーバンド走行での追い抜き行為”にジェイソン・ニブレット短距離ヘッドコーチを含め、各国が抗議を行ったものの、結果は覆らず。ジェイソンコーチ曰く「この大会前にコーチへの説明会で行ってはならないことの一つとしてブルーバンドを走行しての追い抜きがあった」とのこと。

後がない2本目。

太田は外から攻める形となる。残り1周半から一気にスピードを上げた両者は最終周回へ。

逃げるリチャードソンとの距離を徐々に詰めていく太田は最終ストレートに入るところで一気に加速していくと、最後は僅差の勝負となった。

お互いがハンドルを投げる形でフィニッシュに突っ込むが、先着はリチャードソン。車輪半分程度の先着となり、2本を先取して準決勝への勝ち上がりを決めた。

選手インタビュー

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