『2025世界選手権ロード』が開催されているルワンダ・キガリにて行なわれたUCI総会。
2026年から2032年までの世界選手権開催都市などとあわせて、2028年ロサンゼルスで実施される新たな発表がなされた。

ニュースリリース | UCI

オリンピックでの自転車機材に「価格上限」

その発表とは、「ロサンゼルス2028オリンピックで使用されるトラック自転車用具に価格上限が設定される」というもの。
価格上限の導入により「過剰なコスト障壁を防ぐことで競技の公正性を高める」ことを目的としている。

現行規則を補完

現規則では、オリンピックの数ヶ月前に機材をUCIに登録することが義務付けられており、今回の発表はその規則に「価格」が追加された形。2027年1月1日から発効される見込みで、設定価格などの詳細は明らかにされていないが、フレームセット、フォーク、ホイール、ハンドルバーとそのエクステンション、ヘルメット、スキンスーツに最高価格が適用される見込み。

なお、UCI規則(1.3.007)には「自転車およびその付属品は、サイクリングをスポーツとしている人が使うために販売されたか、又は販売できるものであること。特定の目的(競技記録など)のために特別に設計された自転車は認めない」というルールがあり、今回のUCIのリリースでは「すべての国の参加者が公平に用具にアクセスできるようにする」という目的があることも記されているため、各国が実際に購入・使用できる環境を整えるような狙いがあると考えられる。

開発競走に新たなアプローチが

トラック競技日本ナショナルチームがパリオリンピックで使用したV-IZUブランド「TCM-2」は、1台の価格が2000万円超えとなったことも話題となった。今回の決定を報じる海外メディアでも「TCM-2」やイギリスチームの「UKSI-BC1」(64,350ポンド=約1,300万円/フレームセットの価格)が触れられている。

先に発表された「機材規定」の改訂に伴い、すでに日本チームでも新たな自転車の開発が行われているなか、新たに発表されたこの「価格」に関する決定。
どのように対応し、どんな自転車が生み出されていくのか。各国の動向と合わせて、引き続き注目していきたい。

参考 | BikeRadar「Why does the UCI want to cap the prices of track bikes and kit?」

軽量化で生まれ変わった「TCM-3」 それでも挑戦は終わらない

「ルールが変わったのは光栄なこと」 UCI規定の改訂に、東レ・カーボンマジックはどのように挑むのか?