8月22日から25日にかけて、静岡県・伊豆ベロドロームにて開催された『全日本選手権トラック』。
日本一を懸けた真剣勝負は例年以上に熱を帯びたが、会場全体の盛り上がり方も大きく変化していた。
これまでは競技観戦が中心だったが、今年から土日の開催日は体験型や交流型のイベントが数多く導入され、誰もが楽しめる“お祭り”のような空気に。
まだ進化の途中にある全トラの新しい姿が、伊豆ベロドロームに広がっていた。
この記事では、ここまで紹介できていなかったイベントなども含めつつ、あらためて大会の“競技以外”の部分を振り返っていく。
ストライダーイベント
土日のお昼休みの時間に開催されたのは、世界中で愛されるランニングバイク「ストライダーイベント」。
伊豆ベロドロームのバンクで子どもたちが全力で走る姿に、観客の温かい声援が送られ、2日間にわたり会場を和ませる存在となった。
子供たちの安全を守るため、サポート体制も万全
参加者に話を聞くと、「このイベントを目的に子どもを連れて来場した」という方も多数。自転車に、そして自転車競技に触れるこれ以上ないきっかけになったのではないだろうか。
会場の外では、その場で参加可能な特設ブースも
市田龍生都が急遽登場!“自転車かき氷”
会場では、今大会怪我により出場が叶わなかった市田龍生都選手が自転車を使って氷を削り振る舞う姿も。かき氷を受け取ったファンと談笑する姿は、競技を超えた“選手とファンの距離の近さ”を象徴するシーンとなった。
実際にかき氷を食べた方に感想を聞くと、「格別です。心なしかスプリンターの味がするような気がします(笑)」と話してくれた。
市田選手も「観戦していて、すごくウズウズしていました(笑)。こういった形で大会に貢献できて良かったです」「来年は出場して、いい結果を残せるように頑張ります」と語ってくれた。
お祭り感覚で楽しめる多種多様なブース
ほかにも、水鉄砲を使ったサバゲー体験ブースでは子供たちが歓声を上げて楽しんでいたり、
世にも珍しい“生コン足湯”でリラックスしたり、
「ふれあい動物園」では珍しい生き物たちを触ったりと、さまざまに楽しむ人の姿が。
大会3日目には、パトカーと一緒に記念撮影ができる、という珍しいブースも登場し、会場はさらに賑わいを増していた。
競技も多角的に楽しむために
もちろん、選手たちが繰り広げる熱いレースの魅力をさらに広める取り組みも。
配信・場内放送では、中野浩一氏のほか、元ナショナルチームメンバーで東京五輪代表でもある脇本雄太選手、新田祐大選手、そして鈴木奈央選手がプレイヤーズゲストとして登場。技術的な奥深さや駆け引きの妙を噛み砕いて説明するだけでなく、現役選手たちと交流があるからこそ聞けるエピソードや裏話も飛び出した(3選手による解説後のインタビューは、別記事にてお伝えする)。
また、200mフライングタイムトライアルにて選手たちを送り出すスタッフに注目した「プッシュアワード」、超ハードな種目である1kmタイムトライアルの隠れた醍醐味に光を当てた「苦しみアワード」も開催。
多角的な競技の楽しみ方を提示する新たな試みの数々も、今年の全トラを特徴づけるものとなった。
まだまだ、進化の途中
従来は「競技を観る」ことが中心だった全日本選手権トラック。しかし今年は、観戦以外の楽しみも大きく広がった。まだ始まったばかりの取り組みではあるが、大会そのものが「進化の途中」にあることを強く印象づけたといえるだろう。
来年以降、どのような大会になっていくのかにもご注目いただきたい。