2025年8月22日より、静岡県・伊豆ベロドロームで幕を開けた『2025全日本選手権トラック』。
大会3日目、男子オムニアムは大混戦の末、兒島が日本タイトルを得た。レースの模様をお伝えする。
オムニアムとは?
「スクラッチ」「テンポレース」「エリミネーション」「ポイントレース」という4種目を1日で行い、その総合成績を競うオムニアム。レースを支配するための「スピード」「持久力」はもちろん、展開を読む「頭脳」も含め、総合力が試される。
最初の種目スクラッチは、スクラッチ世界チャンピオン窪木一茂がさすがのレース運びで1位。
続くテンポレースで1位を得たのは梅澤幹太(チームブリヂストンサイクリング)。
エリミネーションでは、”JIKのアジアチャンピオンジャージ”という激レアのジャージを身につけた兒島直樹(JIK)がトップ。
3種目を終えての暫定順位は以下のとおり。
兒島と窪木が後続をやや離しての同率1位で最終ポイントレースを迎えることとなった。
暫定順位
兒島直樹 | 114ポイント |
窪木一茂 | 114ポイント |
佐藤健 | 94ポイント |
橋本英也 | 94ポイント |
なお、この日は男子ケイリンも行われており、そこには橋本英也(JPCA)が出場。
特にテンポレースは、男子ケイリン1回戦の直後に実施された。ケイリンからのテンポレースへの文字通りの“連戦”となった橋本だったが結果は5位。とんでもない体力を見せつけ、総合でも暫定上位につける活躍を見せる。
「行くしかない」梅澤幹太
最終種目、100周回で争われるポイントレース。10周毎にポイントを得ていき、最終合計ポイントが最も多い選手が優勝する。
兒島と窪木がポイントで差をつけていることもあり、序盤から各選手がラップ(1周追い抜き。ボーナスポイントとして20ポイントを得る)を狙う激しい展開となった。
中心となったのは、トップと30ポイント差の暫定6位でこの種目を迎えた梅澤。
レース後に「上位とのポイントが離れていたので、とにかく行くしかないと決めていました」と語っていた梅澤。1回目のポイント周回で1位=5ポイントを取り、そこからアタックしていく。
梅澤をはじめ6人がスタートから20周までにラップを成功させると、後続からも次々とアタックが始まり、どこがメイン集団なのか判断が難しい状況となっていく。
各選手がラップを奪い合う、ハイペースの展開となる。
4人に絞られる優勝争い
梅澤はその後も攻め続け、中盤までに3回のラップを成立させ、ボーナスポイントだけで60ポイントを得る。
しかし、上位陣の兒島、窪木、橋本もラップによるボーナスポイントを奪取していく。
6回目のポイント周回を終えたところでの暫定順位は、以下の通り。
兒島直樹 | 155ポイント |
窪木一茂 | 154ポイント |
梅澤幹太 | 152ポイント |
橋本英也 | 149ポイント |
“兒島候補生”の底力
ラップ合戦も落ち着きを見せ、終盤はポイント周回ごとのスプリント勝負へ。
ここから、強さを見せたのは兒島。7・8回目のポイント周回を連続で1着、合計165ポイントとなる。
更に兒島がポイントを得て、獲得ポイントが倍(1位10ポイント、以下6・4・2ポイント)となる最後のポイント周回を残し、上位4人の争いは以下の通りとなった。
兒島直樹 | 168ポイント |
窪木一茂 | 159ポイント |
橋本英也 | 157ポイント |
梅澤幹太 | 154ポイント |
そして最終周回では窪木が抜け出し1位でフィニッシュラインを駆け抜けるが、それに続いたのは兒島。
窪木に逆転を許さず、2着6ポイントを得て兒島が優勝を遂げた。2位は窪木かと思われたが、レース後のポイントの訂正(窪木のラップの取り消し)が行われ、銀メダルは橋本英也。次いで、梅澤幹太という最終成績となった。
順位 | 所属 | 選手名 | ポイント |
1位 | 兒島直樹 | JIK | 176 |
2位 | 橋本英也 | JPCA | 160 |
3位 | 梅澤幹太 | チームブリヂストンサイクリング | 154 |