2025年8月22日より、静岡県・伊豆ベロドロームで幕を開けた『2025全日本選手権トラック』。
大会初日に行なわれた男子・女子それぞれのエリミネーションの模様をお伝えする。
エリミネーションとは?
2周ごとに最後尾の選手が1人除外(エリミネート)されていき、最後まで残った選手が優勝というシンプルかつ奥深いサバイバルレース。
男子エリミネーション
昨年のチャンピオンである橋本英也、『ジャパントラックカップ』の覇者である窪木一茂をはじめとしたナショナルチーム勢のほか、全22人がエントリー。
序盤から山下虎ノ亮(チームブリヂストンサイクリング)、伊澤将也(Radical Aero Club)ら有力選手たちが続々と除外されていく厳しい展開。
そのなかで、前方でレースを進める橋本、外の位置から集団の動きを観察するかのように進める窪木らベテラン勢のレース運びが光る。
ベテラン2人の巧妙な駆け引き
最終盤まで残ったのは窪木、橋本に加え兒島直樹(JIK)、佐藤健(Team SAGA SPORTS PYRAMID)、矢萩悠也(チームブリヂストンサイクリング)の5人。
そして矢萩が脱落した直後に、橋本がロングスプリントを仕掛け集団が散り散りとなる展開。このアクションによって佐藤が除外される。
しかし、このアタックを利用した窪木が橋本の後輪につけると、最終盤で有利になったのは窪木。迎えた除外周回では3人横一線でフィニッシュラインを迎えるが、わずかに遅れた兒島が除外される。
橋本と窪木、金メダル争いに移り一瞬ペースが緩んだ瞬間、傾斜を利用して窪木がアタック。
窪木が先頭を独走し、巧みなレースコントロールで金メダルを獲得した。
なおレース後、内側のブルーバンドを走行したとして橋本の降着が発表。最終結果として銀メダルは兒島、銅メダルに橋本という結果となった。
順位 | 選手名 | 所属 |
1位 | 窪木一茂 | 愛三工業レーシングチーム |
2位 | 兒島直樹 | JIK |
3位 | 橋本英也 | JPCA |
優勝:窪木一茂
Q:優勝おめでとうございます。序盤から中盤にかけて、集団の外かつ前の位置を終始キープしてのレースとなりました。作戦通りでしたでしょうか?
2週間前にフィオレンツォーラでエリミネーションを走っていたこともあり、その時の感覚を活かして、集団の前を取るイメージを持ってレースに臨みました。上手くレースを運ぶことができたと思います。
Q:残り4人になったところでは、橋本英也選手がロングスパートを仕掛ける展開となりました。
これまでもああいった展開は経験していたので、すぐさま追いかけなければならない、と瞬時に判断することができました。
Q:終始、冷静にレースを見られていた?
そうですね。ただ、終わった直後はかなり息も上がっていて、体力的にもかなりキツい状態でした。正直、コンディションはあまり良くないと感じています。
ただ、1日1日レースを重ねながらしっかりとリカバリーをしていけば、良い状態になっていくはずです。最終日の個人パシュートで日本記録更新することを目標に、大会全体をまとめていけたらと思います。
そして、先にあるオリンピックを見据えながら、10月にチリで行われる世界選手権に向けて頑張っていきます。