2025年8月22日〜8月25日に伊豆ベロドロームで開催される『全日本選手権トラック』。大会2日目の8月23日(土)には「プッシュアワード」が行われる。200mFTTで行われるもう一つの戦いに要注目だ。

「プッシュ」とは何か?
過去の受賞者は?
注目の選手(?)は?

をまとめてご紹介する。

プッシュとは?

プッシュとは、スプリント種目の予選として行われる200mフライングタイムトライアル(200mFTT:ハロン)のスタートで、選手をトラック上に送り込むため、コーチやチームスタッフが選手を押すこと。

「コーチのプッシュがタイムへ影響する」という世界トップ選手の声もあり、実はレースにおいて非常に重要な役割を持つ(と一部では言われている)。

Qualifying / Men's Sprint / TISSOT UCI TRACK CYCLING WORLD CUP III, Hong Kong, Jan van Eijden ヤン・ファンアイデン (イギリスナショナルチーム短距離コーチ), Jason KENNY ジェイソン・ケニー

「バンクの上部」からのプッシュ

なお競技ルールの変更により、「バンクの下部」からプッシュはスタートし「安全地帯のみ(ブルーバンドまで)、パーシュートラインを越えてはならない」範囲でのみプッシュが可能である。

女子スプリント, WOMEN'S Sprint Qualification 200mFTT,2025トラックネーションズカップ トルコ・コンヤ, 2024 UCI TRACK NATIONS CUP Konya, TUR,

「バンクの下部」からのプッシュ

以前と比べるとコンパクトになったが、制約の中で生まれる芸術「プッシュ」。自転車競技がわからなくても楽しめるという点において、「トラック競技の隠れた名物」として、More CADENCEでは以前から推しているのだ。

参考:JICF 日本学生自転車競技連盟主催大会における競技規則の適用に関して(2023年7月)

プッシュアワードとは

プッシュアワードは「プッシュ」を何となくのフィーリングで採点し、勝手に賞を授与し始めた事が起源。国際大会では各国のコーチがそれぞれ独自のスタイルでプッシュを行っており、過激に飛び上がったり、カエルの様に跳んでいたりとバラエティ豊かであった。そこにMore CADENCE編集部は目をつけ、プッシュの写真ばかりSNSに上げていた所、UCI公式などもプッシュに注目をする様になった経緯もある。

表向きの評価基準は以下の3点。実際は「なんとなく」もとい審査員の独断と偏見で選ばれる。

① 芸術点
② 技術点
③ 消費カロリー(なんとなく見た感じ)

過去のプッシュアワード

【2019-2020】

東京オリンピック前の2019-2020シーズン、More CADENCEはベルリンで開催された2019世界選手権トラックの場でプッシュアワードを勝手に初開催。

Qualifying / Women's Sprint / TISSOT UCI TRACK CYCLING WORLD CUP IV, Cambridge, New Zealand, 太田りゆ

この時は美しい飛翔を見せた日本ナショナルチーム短距離ヘッドコーチ(当時)のブノワ・ベトゥ氏が初代優勝者となった。

ブノワ・べトゥ

「少しでも選手たちがエネルギーの消費を抑えられるように、選手たちの手助けをしようと思っているだけです。決して写真映りのために行っているわけではないですよ(笑)」との受賞コメント。

その一方で、プッシュ前に準備運動を行っている様子も目撃されていた。

【2021】

2021年にも国内版としてチーム楽天Kドリームスがプッシュアワードを開催。この時の優勝者はまたもブノワ氏。

そして、この日は何度も行ったり来たりしながら最も多くのプッシュを行った佐々木龍也短距離コーチが特別功労賞として選出された。

佐々木龍也,コーチ陣が本気勝負、PUSH!PUSH!PUSH!『PUSH AWARD』日本選手権?開催

佐々木龍也コーチ

時を経て2025年。新たな受賞者は誰となるのか?

注目の選手(?)は?

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